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見慣れた場を見る目玉を変える

近所のお洒落ビストロの前を通りかかると

「やってます!」「予約のお客様のみお受けします」「ご予約はお電話でお願いします!」

と黒い油性ペンで殴り書かれた

剥がれかけのコピー用紙が

扉に何枚も貼られている。

自粛期間にテイクアウトを始めたり

様々試行錯誤し頑張って

営業を続けているのだ。

しかし

もう昔のお洒落ビストロではない。

子どもの入店も制限し雰囲気の良さをも

売りにしていた店には

都度書き殴ったコピー用紙が

べたべた貼られ、窓には一時しのぎの目張り。

人も組織も

生き延びることが一番大切であることは

揺るがない事実だが

その過程で客観視することが

どうしても疎かになる。

余裕なくなるしね。

毎日見ている自分や自分の周りの景色は

いつの間にか

見えていないものだらけだ。

自分に見えなくなっているものが

他人には見えている。

普段使いの目玉を

別の目玉に取り替えて見てみたら

「とりあえず」貼った殴り書きのコピー用紙が

私の腹にも背中にもおでこにも

ペタペタと貼られていた。

色々つぎはぎしながら

生き延びて来たことを讃えつつ

私も背中に貼った

油性ペンの殴り書きを

お気に入りのフォントで打ち直した看板に

付け替えていこう。

時々、目玉も付け替えながら。




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