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スーパーシティとは何か、分かりやすく解説します。

2020年5月27日、スーパーシティ法案が参院本会議で可決されました。

さっそくメディアやSNSでは、
「日本は海外に比べてテクノロジーの活用が遅れているから取り組むのだ」
「監視社会になって大丈夫なのか?」
というコメントが目立ち、どちらかというとネガが先行しているようです。

まだあまり背景など語られていないので漠然とした不安を抱きがちだと思うので、できるだけ簡単に分かりやすく解説したいと思います。
※一部、ちがう解釈があったらごめんなさい


1.世界的な、社会問題の複雑化・多様化・困難化

社会の変化と共に、少子高齢化や食糧難、エネルギーの枯渇など、問題点も変わりつつあります。(もちろん解決に向かっている課題も多々あります)
Society5.0というキーワードはご存知でしょうか?

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AIを筆頭に、テクノロジーの進化によって人間の生産性は飛躍的に向上しています。
Society1.0→3.0(紀元前から産業革命時まで):人間の生産性の成長率は2倍程度だった
Society3.0→5.0(1800年から現在にかけて):人間の生産性の成長率は50~100倍成長と言われている
Society5.0では、あらゆるデータを統合・AIが解析し、人々にフィードバックされることで新たな価値を創造(単なる機械化・デジタル化ではない)することで社会問題の解決を目指していて、この考え方がスーパーシティの根幹となっています。

2.スマートシティ(スーパーシティ)は経済への影響がでかい

日経BP社調べでは、世界のスマートシティ関連市場は2030年には3100兆円規模に成長すると試算されています。

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これは当然日本においても機会として捉えるべきなのですが、前述のとおり「データを活用した社会変化」を前提にしている以上、この成長市場の主役を担うのは「データをたくさん保持し、分析し、サービス化できる団体」となるわけです。

それがいわゆるGAFAとかBATと言われている企業群で、10億人以上のユーザー基盤を持ちながら圧倒的な研究・開発費による未来への投資をしています。

GAFA: Google、Amazon、Facebook、Apple
BAT: Baidu、Alibaba、Tencent

私が勤務し、皆さんも毎日のように利用しているLINEでさえ、国内8400万人、グローバル1.6億人という規模感です。
なので、いわゆる上記のような外資の巨大企業が日本国内における今後の成長市場をも支配していく、と危惧する声が増えている状態です。

そういう背景をふまえ、国としてはスーパーシティに取り組み、各企業主体でもトヨタ(静岡県裾野市)、アクセンチュア(福島県会津若松市)、LINE Fukuoka(福岡県福岡市)などの取り組みがスタートしています。

3.日本は強み・機会を活かして課題解決先進国へ

世界中で社会問題が~と前述しましたが、日本も超高齢・人口減少社会に加えて自然災害も多く、課題先進国と言われています。
これは現時点ではWeaknessではあるものの、課題解決先進国になるOppotunityとしても捉えることができます。
また、トヨタさんをはじめ、国際競争力が高い企業のスマートシティ事業参入も増えており、日本ならではの日本らしいスマートシティが生まれる可能性も秘めています。
(私たちLINEとヤフーさんとの統合もスマートシティの追い風になることを個人的に期待しています)

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上記は私が勝手にSWOTのフレームに落とし込んだのですが、なぜ国がスーパーシティをやろうとしているのかの背景が理解できるかと思います。

4.スーパーシティは内閣主導で、全国の国家戦略特区を対象とする

スーパーシティの資料を読み込むと時間がかかるので、箇条書きでまとめます。

(1)概要
・内閣のアジェンダ
・第4次産業革命を体現する世界最先端都市
・ゴール逆算型アプローチ、ビックデータの横断活用、スピード感

(2)以下から選択 ※5個以上
・移動
・物流
・支払い
・行政
・医療・介護
・教育
・エネルギー・水
・環境・ゴミ
・防犯
・防災・安全

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ちなみに国家戦略特区とは全国数か所でそれぞれ指定されたテーマを推進する地域です。
例えば福岡市は、「グローバル創業・雇用創出特区」として、創業の支援と雇用の創出に取り組んでいます。都心部のビルの高さ制限を緩和して雇用のキャパを増やしたり、電動キックボードの公道走行が許可されたり、文字通り特別ルールが全国に先駆けて適用されるエリアです。

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5.データ後進国になるか、データ活用国になるか

確かにデータというものには「こわさ」があります。でも、だからといってそれを排除していると、もっとこわいことになる可能性もあります。
データというものに対する捉え方がとても重要で、
・適切に取り扱えば、こわいものではない
・むしろ、生活をより便利に、安全にしてくれるものである
このように捉えるべきだと個人的には思います。

例えば、コロナウイルス対策として福岡市で西日本鉄道様×LINE Fukuokaでやった取り組み。

これは西日本鉄道様が持っている電車やバスの混雑データ(ICカードの利用データ)を活用しており、LINEで確認することで通勤やお出掛け時の満員電車の密状態を避けることができます。

このようなデータを使った取り組みであれば、「便利で安心」って思いませんか?

内閣はスーパーシティの推進にあたり、「住民の説得・合意が必要」と言ってますが、もちろん直接的な対話も必要ですが上記のような取り組みをたくさんやることで安心感をつくっていくこともできると思います。

6.まとめ

・社会問題や世界経済などの視点から「日本も国をあげてスマートシティに取り組むべきだ」というところからスーパーシティ法案が生まれた
・対象は規制緩和が可能になる国家戦略特区であり、移動・物流・医療など10分野から5以上を選択する
・データの取り扱い方や住民との合意がとても重要である



最後に・・・私たちのスマートシティの取り組み紹介



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