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『ぼくは愛を証明しようと思う』藤沢数希 書評#15

「お前みたいな欲求不満のその他大勢の男がやることといったら、非モテコミットとフレンドシップ戦略だけなんだよ」

今回は、藤沢数希さんの小説『ぼくは愛を証明しようと思う』を紹介します。

あらすじ

主人公の弁理士・渡辺正樹は、恋人・麻衣子にこっぴどくふられたばかり。浮気されただけでなく、クリスマスプレゼントにおねだりしてきた30万円もするバッグを持ち逃げされた…!
物語はわたなべが恋愛の猛者である永沢に出会ったところから動き始めます。永沢は典型的な非モテ男性であるわたなべに、自身が”恋愛工学”と呼ぶナンパにおける王道パターンを伝授し、わたなべを女に困らないモテ男に仕立て上げていくのです。

見どころ

次々に繰り出される恋愛工学のテクニックはよくできていて、読みながら「本当にそうかもしれない」と「令和の時代には通用しない」の2つの気持ちで揺れ動き続けました。2015年に出版された本なので少しだけ古く感じるのかもしれないです。

恋愛工学の専門用語がたくさん登場するのですが、特に冒頭で引用した”非モテコミット”と”フレンドシップ戦略”が印象に残りました。

”非モテコミット”とは、もてない男がちょっと優しくしてくれた、ちょっと微笑んでくれた女の子をすぐ好きになり、自分にはこの人しかいない!!と思い込んで必死にアプローチすること。
”フレンドシップ戦略”とは、非モテコミットする男のアプローチ方法で、性的な関心をおくびにも出さず親切にし、友達として親しくなろうとすること。

よくある現象すぎて笑ってしまいました。これらの情報は恋愛工学の初歩の初歩として語られるのですが、これだけを読んでも恋愛工学がかなり練り上げられた手法であることが感じられます。
この2つの戦略を実行し失敗に終わってきたわたなべが、恋愛工学を手にどこまで進化するのか??どんな女性を手玉に取るのか??必見です。

感じたこと

数々の女性と連絡を取り、デートし、とっかえひっかえするわたなべは次第に女を煙たがるようになります。
以前のわたなべがあれほど憧れていた、恋愛工学を駆使して手に入れたものは、いったい何なのか?女性たちを獲物として、思い通りに狙い落した先にある景色はどんなものなのか??永沢がわたなべに恋愛工学を披露した目的とは??
ネタバレしたくないのでこのあたりにしておきます。とにかく、いろいろと考えさせられる内容でした。

まとめ

女を落とすテクニックがたくさん登場するため、口先だけの男を見分けたい女性にもおすすめの1冊です。


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