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Killers in the Sky Part2 第四章 "suicidal heart"

Killers in the Sky Part2 ストリーミング、DLサイト一覧
https://lnk.to/nPbTnpBQ

こちらはFATE GEARのM3-2022春作品「Killers in the Sky」の続編です。
Killers in the Skyを読んでからがおすすめです!
The Sky Prison」とも話が繋がっています。

Killers in the Sky Part2 記事まとめはこちら

第四章 "suicidal heart"

すっかり戦死したと思われていた俺達が
翌日インビンシブルに戻ると、最初は幽霊扱いされた。

だが俺が生きていたのを喜ぶ奴らもいて、
俺はいつの間にかこの艦で認められていたことに気がついたんだ。

しかし…それがかえって俺を苦しめはじめる。

ここでは「英雄レヴィン」が必要とされている。

でも家族がいなくなった以上、
「メアリ」はもう生きている意味がなかった。

普通の女の子としてあの人に出会っていたら、
あの人は振り向いてくれただろうか?

そんなことを考えながら、俺は街の状況を軍議で報告したのち、

飯も食わずにふらふらと、
艦の立ち入り禁止の外階段を登って行った。

流れてくる涙も感じないくらい、全ての感覚が薄れていった。その時。

「何してるんだ」

いつもの声が聞こえた。

「…風に当たってるだけです」

「わざわざ立ち入り禁止の場所でか?ほら、戻るぞ!」

ラカムは俺の腕を掴んで戻ろうとしたが、俺は抵抗した。

「俺が女だと打ち明けたあの時、
貴方は言いましたね?『戦力として失うには惜しい』と。
俺は…俺はただの戦力でしかないのですか?!

俺はただひたすら家族に人生を捧げてきた…
家族がいなくなった以上、
生きてる意味なんてないんです!」

「落ち着くんだ。
お前さんは、お前さんの家族が遺した最後のたった一つの命。
お前さん家族にとっての大切な宝物なんだよ。

その命を…自ら絶とうとするな、メアリ。」

「…っ!」

その名を呼ばれた瞬間、
消えかけていた全ての感覚が戻ってきて、
この心臓が熱くなって再び血が巡り出したように思えた。

「あぁ…名前……覚えててくれたんですね…?」
 
まだこの世に、本当の名前を呼んでくれる人がいた。

「人前じゃ呼べないがな。
いいか?お前さんはただの戦力なんかじゃ無い。
少なくとも俺は、お前さんの苦労を知ってる。
1人の人間として見てるさ。」

「俺…馬鹿だ…せっかく貴方に救ってもらった命を、
貴方の目の前で捨てようと…馬鹿だ!」

俺は涙を拭った。

「もうこの世で『メアリ』を知っているのは、
貴方だけです。だからこれからは貴方のために戦います。命をかけてでも…」

「待て待て、命をかけてっていうのは頂けないな。
俺はお前が死ぬところなんか絶対に見たくない。
お互いがお互いを守って、生き残ろう。な?」

「はい…!」

生き残る…一瞬だけ繋いだ手に、そう強く誓った。

曲解説

00年代ヘヴィロックブームを通ってる人なら分かってくれるんじゃないかな~。Evanescenseのゴシックな感じとか、
DIR EN GREYのミドルテンポ曲とかの影響が濃いです(笑)

シンセは私が全部打ち込みました。

ベースも私が演奏している中では一番こだわりました。
私のスラップ初披露曲でもあります。
Toshiyaさんリスペクトです。

ストーリー解説

曲名の通りレヴィン(メアリ)が自殺を図るシーンになります。

 >そんなことを考えながら、俺は街の状況を軍議で報告したのち、

こんな状態でも報告しなきゃいけない社会人のツラさ…(苦笑)

そして普段からレヴィンと飯食ってたラカムだったら、
「飯の時間にいない(ヤバい)」
っていうのは分かったわけで。

あんなにも 咲き誇る
桜の花々でさえ
美しく思えなくて

suicidal heart

ここの一文の通り時期は春だと分かります。
これも東京大空襲があったのが3月10日ということに由来した設定です。

おかしいよね 何故か
何も感じないんだ
大好きだった海を見ても

suicidal heart

人間って極限に疲れてくると何も感じなくなると思うんですよね。
感動が無くなる。
綺麗な花を見ても、海を見ても、空を見てもなんとも思わない。

彼女の場合は家族=生きる意味で、家族を養うために女であることすら捨てた。
でもその家族すら失って、声が男だから今更普通の女子にも戻れない。
唯一の生きる希望でもあるラカムにも振り向いてもらえないだろう、
と思いこんでいた。(一度スルーされてるし)

でも1年以上前にたった一回しか名乗ってないはずの、
彼女の女性としての名前を彼は覚えてたんですね。

そして初めてここで呼んでくれた。

効果は ばつぐんだ!!

なんとかこれで思いとどまるわけです。


第五章に続く。

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