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"The Sky Prison"第四章「正義との戦い」

ガールズ・スチーム・メタル楽団FATE GEARによるコンセプトアルバム「The Sky Prison」の第四章です。

・登場人物紹介、これまでのお話はこちらから

「インビンシブルから遭難信号か…さて、どうしたもんか。」

「『どうしたもんか』と言いつつどうせ助けに行くんだろ?あんたホンットお人好しだよな。」

「嬢ちゃんが見つかったら大変だな。レヴィンのほうから伝えといてくれ。」


―「アン、入るよ!」
慌ただしく入ってくるなり、倉庫内の武器を物色し出すメアリ。

「何かあったの!?」
「俺とラカムが昔乗ってた戦艦から遭難信号があった。
引退寸前のオンボロ船でね。ラカムは助けに行くって言ってるが…」

メアリはアンに銃を渡しながらこう続ける。
「嫌な予感がする。家に連れ戻されたくなきゃ隠れてな。
何かあったらこれを使ってくれ。」


燃料切れになった戦艦インビンシブルは海の上を漂っていた。
金と引き換えに燃料を渡すことで合意し、
Sky Prisonは万が一のことを考え、相手が大砲で狙えない真上から近づく。

その時、インビンシブルから巨大な鎖付きの銛が数本発射され、Sky Prisonの船底に次々と食らいついた!

「くっそ、あの船いつ改造しやがった!こんな仕掛け聞いてねぇぞ!」

ラカム船長は必死に操舵するが、
船体は直ぐにインビンシブルに引き寄せられる。

敵の船内放送が聞こえてくる—
『ラカム船長とレヴィン副船長を捕らえろ。他は殺しても構わん。』

ラカムは拳を壁に打ち付ける。
「あいつら…!政府の犬になりやがった…!」

軍隊が次々と侵入してくる。
連日の宴で二日酔いの空賊たちはまともに戦えなかった。

「レヴィン!
俺が投降してる間にお前は嬢ちゃんと他の奴らを連れて脱出しろ!」

「嫌だ!!まだ諦めない!
ラカム…あんたとこの船は…俺の唯一の家なんだよ…」

「…相手はかつての仲間だ。覚悟はできてるんだろうな?」

「とっくにできてますよ上官。あんたと一緒に除隊したその時から。」


『バンッッ』
威勢の良い銃声が近くで聞こえたかと思うと、そこには長銃を華麗に操るアンの姿があった。

「私、狩りは習ってたから銃は得意なのよ!」

「驚いた。男共より頼りになりそうだね。行くよアン!」


第四章解説

Battle Against Justiceのお話。
この章の時点で、アンがSky Prisonに乗ってから数か月経過している設定です。

この頃には船長とメアリは
「もしかして、もの凄い名家のお嬢さん乗せちゃったんじゃないの?」
と気づいています。

そしてこのタイミングで旧知の戦艦からの遭難信号…
2人は軍隊の目当てがアンかもしれないと警戒しますが、
そのヤマは外れることになります。

(メアリは最初から何かがおかしいと睨んでいますが、お人好しの船長のことだから止めても聞かないとわかっているので、止めませんでした。)

なんと敵の狙いは「ラカム船長とレヴィン副船長の身柄拘束」。
旧知の仲だから、今までは見逃してくれていたはずなのに。

政府が「報酬たんまり出すから捕まえてこい」と命令したのです。
金の力って怖い。

船長としては昔の仲間と戦いたくないし、嫁も船員もアンも守らなきゃいけないので自らの身を投げ出そうとしますが、嫁が許してくれない。

「あんたとこの船は唯一の家」と言うメアリは、昔の仲間と戦う選択をします。

しかしこんな状況でも夫婦であることを隠さないといけない二人、
辛いですね。

戦艦インビンシブルとは?

遅い、重い、古いと三拍子そろってしまった、造船から数百年経っている戦艦。
ただし主砲の一撃が強力なので、乗り物というより兵器としての使用が主。
ラカムとレヴィンは昔、軍隊としてこの船に乗っていました。

燃費が悪い戦艦なので、「燃料切れで漂流しててもおかしくはないよね」と2人は油断してしまいます。
さらに「あの船は真上が弱点だから、上から近づけば問題ないっしょ!」という思い込みにより、簡単にSky Prisonは捕縛されてしまいます。

人間の思い込みを利用した軍隊側の作戦でした。

名前の由来はファイナルファンタジーIIIに出てくる巨大船インビンシブルです。船の外見は大和みたいなやつを思い浮かべてください。


はたして戦いの行方は…?

第5章は明日更新!


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