Killers in the Sky 第一章 "Live in blood"
その少女は「声」を捨て、戦うことを選んだ―
-はじめに-
ガールズ・スチーム・メタル楽団FATE GEARによるコンセプトアルバム「Killers in the Sky」の第一章です。
MV「Live in blood」やサブスク配信とともにお楽しみください。
なお歌詞の掲載を省略している代わりに、
CDブックレットにはない解説付きでお届けします。
第一章 "Live in Blood"
—「ねぇメアリ、貴方と船長の話をもっと聞かせてくれる?
なるべく沢山知っておきたいから…。」
「そうだね、話しておこう。出会いは俺が訓練兵になった10年くらい前。
しかし1年ほど過ぎたある日、ある事件が起きる。」
-
「本日未明、野営中に訓練兵3名が天幕内で死亡しているのが発見された。
同班で唯一生き残っていたのが…レヴィン、だったか。
お前に殺害容疑がかけられている。何があった?」
「ラカム教官にだけお話します。この話は内密にしたほうがいいかと…。
他の方には下がって頂きたい。」
周りの先輩たちはすかさず口を挟む。
『教官、危険です!殺人犯かも知れないんですよ?』
「ハッ、俺がこんなガキに負けるかよ。
いいだろう、俺だけで聞いてやる。」
2人だけになったところで、俺は打ち明け始めた。
「俺、実は女なんです。本名をメアリといいます。
同班の奴らに女だと気づかれ、襲ってこようとしたので…
殺しました。」
「は?女だって!?お前だけで3人とも殺ったのか?」
「はい。向こうは口合わせして襲おうとしていた様子でした。
ですから俺にとっては…」
俺は椅子の上で項垂れつつも教官を睨んだ。
「ただの正当防衛、ですよ。」
怒りも、悲しみも、軽蔑も含んだ言い方をしていただろう。
その時はすべての男を信用出来なくなっていたんだから…
~第二章"Lose my voice"へ続く~
解説
前作「The Sky Prison」を読んでいる方は、冒頭の会話が誰と誰の会話かもうお気づきですね。
今回はメアリ視点で語られていく作品になります。
でもこの会話は「The Sky Prisonのどの時点」での会話なのでしょうか?
色々想像を巡らせてみてください。
英詩部分の訳は
「お前がナイフを取るのなら、私は正当防衛のために銃を選ぶだろう。
私がただ罪を負う、だってこの引き金を引くから」
です。
「積み上げた絆」があったと思っていた。でも友情はすれ違ってしまった。
ここでメアリは闇落ちしたのかも知れない。
(でも案外冷静なところを見ると、これが最初ではないのかも…?)
この話は一年以上前に出来ていたものであって、
恥ずかしながら当時はウクライナ情勢のことは何も知りませんでした。
しかし現実として、女性たちが襲われて殺されている。
戦争のたびに同じことが起こっていると思います。
皆が皆メアリのように戦えるわけではないのです。
自分で書いたストーリーと歌詞だけど、考えさせらえれてしまいました。
追記:
The Sky Prisonではメアリの年齢については一切謎でしたが、ここでようやく明らかに。
The Sky Prisonを書いていた当初はもっと若くする予定でしたが、
あまり若くし過ぎると、「コンプライアンス的にアレ&個人的に可哀そう」という情が働いてしまい、最終的にこの年齢に落ち着きました。
ラカムは未だに謎(笑)
面白い話を書く上で情とかコンプライアンスとか言ってられないんだろうけど…やっぱり本職の物書きさん達はすごいな…
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