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彼女が逝き、気付くこと

足の小指の力が入らなくなると

外側に力が逃げ
歩きにくくなるらしい

足の小指は
非常に重要な役割を
主張することなく

心臓より一番遠くの場所で
大地に立つ身体のバランスを
取ってくれている


彼女もそんな位置付けだと気付かされた


普段は寝ているか
騒ぎ立てる新入り兄弟の2歩後ろで
じっとその様子を見ている


何事にも動じず
冷静で
私の帰りが遅くなった日でも

何も変わらず
目の前に訪れてきた

突然の容態悪化で帰らぬ猫となった彼女が

昨夜小さく乾いた骨になって
我が家に帰ってきた


翌朝
私は彼女が使っていたブランケットを全て洗い
彼女のためだけの水入れやその場所を片付ける


そうやって少しづつ
現実を受け止める儀式をしている

物質的な片付けは
ざわついた心も整理してくれてるみたいで
綺麗になる物と自分の心がリンクする


彼女が好んだ場所に
彼女はいない


騒ぎ立てる兄弟の後ろに
見守ってくれている存在がいない


小さくて丸い背中と
いつも垂れ下がっている尻尾を引き連れて
一歩一歩近づいてくる彼女はどこにもいない

 
 
目に写る空間の整理はどうやったら
私の心とリンクすることができるのだろう


その現実を
受け入れるには


もうしばらく
この涙と寄り添う必要がありそうだ

ちゃーぽん今までありがとう
REST IN PEACE


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