『カウントダウン テラ』~地球からのメッセージ~ その⑤
第4章 『初陣』
アリサ『…ムイ、カムイ、神威!起きて。起きてったら。』
神威『ん。。。あ。。。夢?あ、夢じゃない。アリサだ。』
ミミ『ミスター神威。おはよう。気分はどうだい?』
神威『特にこれと言っておかしなところはないかな。僕はどうなっちゃたの?見た感じ何も変わっていないけど…』
ミミ『何も変わらないさ。明日も普通通り学校に行ける。』
神威『学校ね。あんまり行きたくないんだよなぁ。』
アリサ『いじめられるから?かな?』
神威『…んん、まぁ、そう。でも、強くならないとね。でないと、魔物倒せないんだし^^』
アリサはクスッと笑った。その笑顔がちょっとだけかわいくて僕は胸がキュンとなったように感じた。
神威『ところで魔物ってどこから出てくるの?空から降ってくるとか?』
ミミ『魔物は時ゲートを通って出てくる。そして時ゲートは、…そうだな地球で言う電柱や電信柱に作られる。地球上には電柱や電信柱が無数に存在する。だから時ゲートを特定するのは非常に難しい。』
神威『見つかんないと倒せないよね。』
ミミ『その通りだ。だがオーブの力を使えばある程度は予測できる。アリサが持っている3つのオーブにはそれぞれ意味があり、それを可能にする。』
神威『見た感じ赤と青と黄色のただの玉みたいだけど…』
アリサ『ちょっと、ただの玉じゃないわよ!失礼ね。青が光っているうちは時ゲートの出現なし。まぁだから安全ってことね。黄色が光ると時ゲートが近くで開いているってことで赤が光ると…』
神威『ねぇ、黄色光りだしてない?』
アリサ『え、ちょっと、ミミ、時ゲートが近くで開きつつある!?』
咄嗟にミミは何かをつぶやいた。
ミミ『2時の方角だ。割と近いぞ。』
アリサ『神威行くわよ。』
神威『行くって、えちょっとま…えー』
扉が開き、神威は吸い込まれた。そして、とある町の交差点に出てきた。
アリサ『このあたりね。ミミ何か感じる?』
ミミ『いや、まだ何も…』
神威『ねぇそういえばアリサのことをここにいる皆は見えないの?』
アリサ『そうね。私のことも見えていないけど、あなたも見えてないのよ。私達は時ゲートで今世界の裏側にいるから。』
神威「裏側ってどういうこと?』
ミミ『分かりやすく例えるなら、画用紙の裏と表だ。同じ面にいながら表から裏が見えないのと同じことだ。「時のチカラ」は時空そのものに力を加え、表と裏を同時に存在させることが出来る。
神威『…なんかやっぱりよくわかんないけど、みんなには見えていないんだね。』
ミミ『そうだ。あと、魔物はいつもは世界の裏側に潜んでいるが、災害をもたらすときには時ゲートから表に出て人にのりうつりその人をコントロールして何かしらの災害をもたらすんだ。』
アリサ『見えた。今、あの横断歩道を渡ろうとしているベビーカーの中の赤ちゃんとそれを持っている女の人の寿命が極端に減ったわ!神威、時間がない、急ぐわよ。』
神威『…ちょっと待って。え…何?心の準備が?』
アリサは3つのオーブを頭上に掲げ、神威に入り込んだ。すると、神威は神々しいオーラを纏い戦闘モードの状態に移行した。神威の中で今2つの人格が交差する。
その瞬間、1台の軽トラックの暴走車が向こうから猛スピードで突っ込んでくる。信号は赤だ。このまま暴走すればあの親子は間違いなく事故に巻き込まれる。運転席の男は眠っているようにも見える。
神威『ミミお願い。止めて!』
神威の中のアリサが叫ぶ。
ミミ『了解した。タイムストップ!』
辺りの時が止まる、ただし1台の暴走車は止まらない。『時のチカラ』であるタイムストップは少しの時間、表の世界を止めることが出来るが魔物の動き自体と魔物が操っているものは止めることが出来ない。
アリサ『あれを運転している魔物を切るのよ。神威、ソードを出して。』
神威『切る?ソード?何?』
アリサ『考えればいいの。光のソードを連想して。あなたが手に持てる刀を出すの!早くあの親子を助けなさい!』
神威『もう、えーい、ソード出るんだー!!!』
金色の長い剣が神威の手元に出現した。
アリサ『神威行くわよ。その剣で運転手を切るの。』
神威『えー人殺しだよ。それって!』
アリサ『大丈夫。中の魔物しか切れないから。安心して!』
神威『分かった。行くよ!!』
アリサ・神威『オー!リャー!!!!!!!』
目にもとまらぬ速さで車も人も貫通し、2人の剣は魔物は真っ二つに切り裂き、魔物は黄金の光を放ちながら消えていった。
時が動き出す。暴走していた車は赤信号で止まっている。その横を赤ちゃんと何かを話しながら女の人が通過していく。
神威『…ハァハァ、やったのか?僕。』
アリサは神威から抜け出し、その場に座り込んだ。
アリサ『…ハァ…えぇ。初陣にしては…まぁまぁね。』
神威『赤ちゃんが助かって本当によかった。』
神威は少し涙を流してちょっと笑った。アリサもつられて少し笑った。
アリサ『どう?あなたの任務の重大さがわかったでしょ?』
神威『…あぁ…うん。そうだね。あれ、ミミが動いてないよ?ミミ?ミミ?』
アリサ『ミミは、ね、「タイムストップ」を使った後は仮死状態になるの。止めていた時間に比例して起き上がれなくなるの。自分の生命エネルギーを時間に置き換えてるから仕方ないわね。半日も経てばまた元気におしゃべりしだすわ。』
アリサは優しく微笑みながら、ミミをそっと撫でた。アリサのその優しい瞳が神威の勇気に火をつけ、神威は今自分が置かれているこの状況を少しずつではあるが受け入れ始めているのだった。
構想3年のオリジナル空想小説です。 初めての小説なので稚拙な表現等あるかもしれませんが大目に見てくださいw 将来的には漫画やアニメになると面白いなーと思っています。大まかな設定はすでにありますが臨機応変に変えていこうと思います^^