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詩「ツアーファイナル」

廃車場見学へ行ったときのこと
思いの外 墓場の空は
広い
風に錆の音がまじる
りりりぎん
くいしばられた銀歯たちのプロージット
タイム
アウトプットが進むキャンバスでは
あの人と自分の距離がまた
一層わからなくなっていく
りりりぎんんん
廃車場には
かつて乗客を包んでいた大きな
車体が
青い沈黙を囲って今日もご満悦
未来のなさ
ひとは暇なら打ち上げる 身体を
外部にして
歌い上げる――
甘いつぶやきたち
鳥がチェリーをついばみ合っている
種は
青の中愛でられ、じきに芽を放つ
だが
青の中ですら一部
水を必要とする
ずっと芽は 放たれようとして
つつ
鼻垂れ小僧のよう
ほらかめば
これもまた 青いだろ
すうすうと草が息をする
楕円の細い すう 吸う
錆びついた大気を
八重歯が受け止めている
廃車場の外には
とうもろこし畑
黃   黃   黃
  点   点
そう
笑っている
とうもろこし畑で再生が止まる
粒となったわたし
葉となったあなた
隣の粒たちは 誰だ
廃車場見学へ
行ったときのこと
空が高く広くて
空しか 見えていなかった



























今まで書いた詩だよ。

紙のココア共和国正直楽しみです。


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