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詩「忘れられる」

ぼくらは忘れられる
ひどい言葉も
足の小指の痛みも
ぼくらは忘れられるから
狭い家の中を心を持って
闊歩し続ける
 だから助けて
どうして
それでも問い続けることができるのだろう
ぼくらはやっぱり忘れられる
同じラーメンを晴れた顔で食べながら
繰り返される夕焼けに波をとかす
 でも助けて
どうして
音楽はなり続けるのだろう
どうして
それでも問い続けることが
 スカートのはしっこは
 冬の 日みたいでしょう
日常をノイズキャンセルした思いまぶた
目に見える流れを
ぼくらは忘れることができるだろう
忘れられるから
香りでさえも
何気なく入れる
味噌汁の七味が
六五四二シャカシャカ
零味ほどになる時を経て
ぼくらは忘れられる
引っ越しの日にそれを思い知る
時と液体
水性砂時計の如き
ここで偉大なのはそう
味噌汁
 (わたしは忘れられる)
誰か河原で 蝶を見たか
ひとまたたきにつき
ひとりんぷんほどの姿を
くらましていく蝶
味噌汁をすするとき思い出すのだ
  雫
春 と 視線

交差するポイントに
  蝶

記憶街へぼくらは引っ越す














良くも悪くもなく、変化。


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