詩「日々是微除幕式」
思い出と靴底では
どちらが早く削れるだろう
どちらが大地を感じるだろう
どちらにせよ削れてるのは君だ
今日もネジを巻く手がおれたろう
大げさな音にも慣れた
夕方のベルに紛れて
街中に響きわたる
干した布団がそれをうけとめて
安眠者たちに耳鳴りを届ける
自分では決して
そうなりたくはないと
思うような人間であるような
鰹節の一粉でも入れば
進んで味噌汁など
吐き出すくらいの潔癖さなのに
そうでなくて味噌汁には
累積のほこりが連なり重なっていた
黴の生えかけたパンを
机の角で削って
食するくらいには
今日も ネジを、
巻いていくのだ ああ きみは
(いなずまほどの
さきのとがりをみせろ)
焦燥は焦燥で焦燥している、横で
夕飯の自宅がしたい
たまには
新しく夕飯に向かいたい
あなたがいなくなった
わかりきった理由は
丁寧に卵にとじておいて
ところで
思い出と靴とでは
どちらがさきに底が潰える
どちらから光が差し込むだろう
今まで書いた海です。
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