論理学の基礎の基礎~論理的とは~

 みなさん、こんにちは。私は哲学プラクティス系Vtuberの水出博雄です。最近Twitter等を見ていて、「論理的」であることについて今もう一度見直す必要があるんじゃないかと思い、本記事を書きました。高校卒業していれば多分みんな分かる内容だとは思いますので、ほんの少しの間、お付き合い下さい。

問題

 突然ですが問題です。今から、二つの三段論法を展開します。どちらが論理的な内容か、考えてみて下さい。

A

人間は動物ではない

犬は人間である。

それゆえ、犬は動物ではない。


B

魚は水中を泳ぐ

マグロは水中を泳ぐ

それゆえ、マグロは魚である


いかがでしょうか?どちらが論理的な内容でしょうか?


解答

 では、正解を見ていきましょう。

正解は・・・Aです!

 あ、一部の方、今「は?」って思いませんでしたか?思いましたよね?大丈夫です。私も最初思いました。(←おい)

解説

 では高校の数学を思い出してみましょう。「集合と論理」の場所です。ある集合とある集合の関係性みたいな話ですね。

 まずはAです。人間を集合A(人間)、犬を集合B(犬)、動物を集合C(動物)と置きます。この時、「人間は動物ではない」、つまり、A(人間)とC(動物)は重なり合いません。それぞれ独立して存在します。次に、「犬は人間である。」。つまり、集合A(人間)の中に集合B(犬)がある。最後に「それゆえ、犬は動物ではない」。CとBの関係は独立しているとなる。つまり図にするとこうなります。

画像1

犬とか動物とか人間とか、そういう言葉さえ気にしなければ間違えたことは言ってないですよね?「詭弁だ」?いえいえ、しっかりと「論理的」でしょう?

 ・・・では次、Bを見ていきましょう~。

同じように、魚を集合A(魚)、マグロを集合B(マグロ)、水中を泳ぐ(を集合というかどうかは今回は置いておいて、考えやすい為)を集合C(水中を泳ぐ)と置きます。「魚は水中を泳ぐ」、つまりC(水中を泳ぐ)の中にA(魚)が存在します。そして「マグロは水中を泳ぐ」、つまり同じように、C(水中を泳ぐ)の中にB(マグロ)は存在します。最後に、「それゆえ、マグロは魚である。」つまりここで言っているのは、A(魚)の中にB(マグロ)があると言っています。

え?おかしくない?いえいえ、おかしいですよ。次の図をご覧下さい。

画像2

どうですか?元の三段論法と比べてみて。最初の二段まででこのような図になる可能性だってありますよね。合っているは合っているけど、説明としては不十分。つまり、Bの三段論法は論理的ではないのです。

論理的であることと正しいこと

 いかがでしたか?納得していないような顔と、してやられたという顔と、そんなん当たり前だろという顔が目に浮かびます。

 今回重要なのは、「論理的に適切であること」と「命題的に真であること」、この二つは同じじゃないということです。論理的な正しさとは、前提や結論の事実的な正しさとは一切関係ありません。

 議論をしている時に正しさについて判定する時、この事実はとても重要になってきます。つまり、論理的に正しいからといって命題が正しいとは限らないし、逆に命題が正しいからといって論理的に正しいとは限らない、という訳ですね。

と、いうわけで・・・

 どうか、議論の時に正しくないと言う時、どう正しくないのかしっかりと把握するようにしてください(自省)

ここまでしっかりとお読みになられた方々、誠にありがとうございました。(*- -)(*_ _)ペコリ

参考文献

翔太と猫のインサイトの夏休み,永井均,p158-161

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