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クリスの見た夢

『もうひとりの M に捧ぐ。』

何の序章も無く、あたしは戦乱の真っ只中にいた。
矢の雨、剣戟、血飛沫、怒号と断末魔、死体の山、瓦礫と黒煙。
しかし、その理由も、場所も、自分の名前さえ、そこには無かった。

戦士が一人近づいてきた。血に塗れた剣と鎧。

『ああ、あたしも死ぬんだ』
ただ漠然と、そう考えた。予想する痛みだけが少し恐かった。

しかし戦士は、あたしを殺さなかった。
むしろあたしを守るようにして、その場から連れ出してくれた。

連れて来られた所は、粗末な作りの小屋だったが、
ここは静かで安心できた。

何語も話さないあたしに対して、戦士もまた、何も話さなかったが、
食べ物や衣服や自由を与えてくれた。

窓から見える、少し荒れた小さな花園に咲く花々があった。
その白い花びらには赤い縦の線が2本入っていて、
あたしはこの花が好きになった。

ここを出ようと思えばできたが、あたしはそうしなかった。

ある時。
「あの花は、なんていう名前?」
と訊いたときの、戦士の、少し驚いた顔は忘れられない。
彼はすぐに答えてくれた。
「クリスティーナ。」
「ふーん。」
きれいな名前だと思った。

そして今度は、
「おまえは、なんていう名前?」
と、戦士の名前を訊いてみた。

「ヴェルゼル。おまえは?」
逆に訊かれて困った。しかしありのまま答えた。
「おぼえてない。」
ヴェルゼルは、あたしの目を見ながら少しだけ沈黙した。

そしてうつむいて、何かを考えた後。
「あの花の名を名乗るのはイヤか?」
と訊かれて、
「イヤじゃない!それがいい!」
と、少し興奮して答えた。
ヴェルゼルは、あたしに名前も与えてくれた。

あの戦乱を連れ出してくれた。
食べ物や衣服や、寝る場所も安らぎもくれた。
これまでの、それらに対しての気持ちを言葉に出してみた。
「ありがとう。」
ヴェルゼルは笑顔であたしの頭をなでてくれた。

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「……これ、久しぶりに見たな……。」
まだ半分寝ているクリスは、Maverick の自分の部屋のベッドの上で呟いた。
カーテン越しにも分かる外の様子は、そろそろ夜の帳が下り始める頃。
時間的にはお仕事に出なきゃいけないタイミングだけど、
今日はお休みにしよう。天気痛か、アタマも痛いし。

クリスは普通に起きて、身支度を整えると、
ミーファたちの居るリビングに降りた。

「おはよう」
ミーファ「あ、クリスおはよ。」
エヴァ「おはよ」
デーモン「おう」
みー「おはー✋」
ク「ねぇ、あした、みんなで買い物行かない?」
みんな「「「いいねぇ✨」」」
みー😊

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あとがき

このお話の原作は昔々に書いていたもので、今回 Maverick と繋げるため、
一部編集したものになります。

きっかけは、冒頭の M氏が Twitter で、シュタインズゲートをおすすめする動画をシェアなさっていて、
『あれ?そういえば昔、保存してたハズ……。』
と、昔の外付けHDDを見ていた時に、偶然見つけたものです。
シュタゲもちゃんとあったし、他にもお話がひとつあって、編集して
公開済みです。長いけど、よろしければ、そちらもどうぞ✨

これを、氏の理想とするシンクロニシティと呼ぶには、だいぶ大仰な気が
するので、『御縁』とさせて頂きます。ありがとうございました😌✨

最後に、眠らないエルフが夢を見るか。については
各自脳内変換お願いします。あ。公式ではそうなってるけど
Maverick は夢を見るのです✨

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