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『OD!i』第67話「精神への旅路②」

 ここはこれからあたしが大変お世話になる場所。

ですから、適度な緊張感と礼儀礼節を忘れてはいけません。

外観から、お父さん達に連れて行ってもらっていた菜楽町の図書館の、

大体十倍程の大きさに感じていました。

まず一階は学習スペース、PCも使えるみたいです。

一階の本棚の量は驚くべき程のものは御座居ませんでした。

 しかし大人しく振る舞い、図書館の全体構造の地図を拝見する事で、

自らの憶測を確かな情報だとすりかえて信じきってしまう事は、

本当に危ない思考だと、あたしは思い知らされる。

こちらの図書館の本意は、

地上の、一、二階ではなく、地下三階までに及ぶ、

膨大な本棚の海、地下書庫にあったからです。

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 地上の二階は文字通り陽のあたる様な書籍の群れ、

暮らしや趣味実用、小説・ノンフィクション、エンターテイメント、

ビジネス・資格、生き方・ハウツー、

社会・経済・思想、お金に関するもの。

 今のあたしがすぐさま必要としているものは、

あまりなさそうに見えました。

 あたしが必要としている、育みたい素養は、

様々な宗教、歴史、和歌市の地理に明るくなる事、

和歌市が何処にあるか知る事、

今唯一使えるドライヴ、幸福(ハッピー)達の理解と進化の為の、

数学・物理学。

様々に応用が利く、言語。

八百万倶楽部活動のスポーツルールや文化活動のマナーへの理解。

そして、八百万の神々、「存在」に対する造詣を深めてゆく為の“道”。

 あとは、……これも大事、凄く大事。護身の為に「武」を学ぶ事です。

あたしがこれから学ぶ事は山積み、

でもそれは菜楽荘と普通学園の日々で、

嫌と言う程思い知らされています、雁野先生のお言葉、



「一生勉強だ」


人生は短い。



………………
…………
……

 地上から階段を下りると、地下書庫の受付が見えてきました。

受付の方から、書庫の中に入る際には、

カバンを持ち込む事は禁止と教えられ、無料のロッカーに預けました。

しかし、ノートや筆記用具、

勉強に必要なものは、

入口わきに置いてあるカゴに入れて持ち込む事ができました。

許可証を戴いて、ジャケットの見えやすい場所へ付けて、行動開始です!


 きみにあいたいな。
それでもぼくのなかのきみとはまいにちあいしあっている。
ひつようなものはたいていこころのなかにある。

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