『開幕前夜』第18話「集積回路の夢旅人」

「01110」

………………
…………
……

　あたいは、すぐに傍を見渡す……が……、……居ない。

…………居ない。

……ハンカチでそっと、目頭を……拭う。

「…っ……ハ……ン…カチ…っ…もっ…てる………か……っ………」

　そして、

……いつもの……癖。

首筋を……なぞる。

………………
…………
……

「大変お世話になりました。イデア様」

「うむ。おまえは優秀じゃ。もっと自信をな？」

「……はい。……お元気で」

………………
…………
……

「履歴痕跡削除」

……これで……、「Maria Manger」は消えた。

……そして、おそらくあのお方も……。

……またいつか、

果てしなき輪廻の流れの果てに、

お目にかかれるでしょう。

「跳躍設定は…………、……試してみる、か」

【Imago（イマーゴ）】以外の門……興味あるし……。

よし。

……練る…………、

………………
…………
……

……ロヴォよ……

……渡したまえ……

「……“滅度航法”……」

………………
…………
……

　あたいは、

あたい自身が門となり、

開かれる…………、

そこは…………、

【慶元令】と呼ばれる場所。



　いちじがばんじ。
きみがいるからぼくがいる。
あたいがいるからあなたがいる。