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『✕○!i』第24話「浪漫飛行」
とぶために人々は、
どれほどしついにおちたことでしょう?
ちいさなおんなのこは、
そのめに、
おおきくおみずをためていいます。
「のらないよっ! そんなおふねになんかっ!」
「……どうしてだい?」
魔王の声はすこしふるえているようです。
ちいさなおんなのこはさらにいいます。
「……なんで、おんなじ命に、びょうどうにえらぶことをゆるしてくれないの?」
魔王はいいます。
「うん、ほんとうにそうだね」
ごめんなさいがつたわるといいね。
すべての生命に。
のこすものたちのこされるものたち。
「つぎは、かんたんだよ?」
ためたなみだを、
ちいさなおんなのこはふきながら、
「……きかせて?」
「このふたつの絵をみてね。すきなほうをえらんでください」
ちいさなおんなのこのまえに、
まかふしぎ、
絵がふたつうまれました。
いちまいは、
みまもりの塔の人々が、
みんなしってるぐらいゆうめいな、
魔王のかいてある絵です。
もういちまいは、
としおいたおんなのひとがうたっている絵でした。
ちいさなおんなのこの心はほくそえむ。
そして、
「かけをしましょう? 魔王さま」
ちいさなおんなのこないしんにやり。
ちいさな魔王ないしんどきり。
「う……うん。い……いや……、…………、わかった……いいよ」
「魔王さまのおすきなほうをあてたら、こうつげてから、わたしめのささげたものを、どうか、うけとってください。あのね…………?」
魔王ははなはだこまりました。
「わかった……はずれたらどうするつもりだい?」
「わたしめのなまえと命をさしあげます。それでは、わたしめは魔王さまの絵をえらびます」
「は……はずれです……」
「ではわたしめのなまえと命をささげます」
「いや……どちらもいらない」
それから……、
………………
…………
……
いつのまにかちいさなおんなのこと、
ちいさな魔王は、
手と手をつないでいました。
そして、
しぜんに、
おもいをあつめて、
よりそいあい、
ふたりは、
おちるように、
恋にとぶのです。
さぁ、でかけましょう。
ふたりぼっちの、
浪漫飛行へ。
とびきりちいさなまおうVSちいさなしまいたち。
せんりゃくのなまえは、
いっせきにちょう。
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