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青いカフタンの仕立て屋: 「愛するということ」を描いた映画

映画「青いカフタンの仕立て屋」を見に行きました。下記が感想です。(ネタバレ含む)


あらすじ

父から受け継いだ仕立て屋で、極上のカフタンを制作する職人のハリム。昔ながらの手仕事にこだわる夫を支えるのは、接客担当の妻ミナだ。25年間連れ添った2人に子どもはいなかった。積み上がる注文をさばくために、2人はユーセフと名乗る若い男を助手に雇う。余命わずかなミナは、芸術家肌の夫を1人残すことが気がかりだったが、筋がよく、ハリムの美意識に共鳴するユーセフの登場に嫉妬心を抱いてしまう。湧き出る感情をなだめるように、ミナは夫に甘えるようになった。ミナ、ハリム、そしてユーセフ。3人の苦悩が語られるとき、真実の愛が芽生え、運命の糸で結ばれる。

公式サイトより


テーマは「人を愛すること」

異性愛、同性愛、家族愛など多様な愛の形を紐解き、その本質を丁寧に描いています。映画の核心は人間の愛の力と、その複雑さをひも解いているように感じました。

夫と男の愛、そしてそれを見守る妻を描く

映画の舞台は同性愛が認められていないモロッコ。夫と男の子の微細な感情の変化と、それを見守る妻の心の動きを時間をかけて丁寧に描くことで、愛の多様性と複雑さを視覚化しています。

情報量の少なさが微細な表情や仕草に焦点を当てる

この映画は音楽はあまり使用されずセリフよりもキャラクターの表情や仕草、行動を通じて少しずつ物語を進行させています。1分あたりの情報量がとても少なく現代社会の短い動画コンテンツとは対照的です。しかし、この手法が逆に作品に深みを与え、観客に静かな魅力を提供する役割を果たすとともにキャラクターの内面的な感情を直感的に捉えることができ、その結果、物語により深く入り込むことが可能になるのです。


妻の死後と残された2人

妻の死後、夫と男の子の関係は描写されず、観客の想像に任せる形となっています。これは映画の深層を引き立て、観客が自身の感情や想像力を映画体験に活かす余地を提供します。

映画全体のメッセージ

最も印象的なシーンは、妻が最期に夫に「愛することを恐れないで」と言ったときです。この一節は映画全体のメッセージを象徴し、観客に対し愛の力とその複雑さを理解しようとする試みを強く印象づけます。




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