「1人では生きていけない」そんなこと、とっくの昔にわかっているよ

「でも正直さ、一人で生きていくのって辛くない……？」

何年か前、他のお客さんがいない仄暗く静かなカフェの中で親友から飛んできた質問。

そのときは、「恋人がいても結婚しても、永遠に一緒にいられる保証はどこにもないし仮に子どもを産んだとしても子どもには子どもの人生がある。友達にも友達の人生があるし、誰かと一緒に住むのは私にとって負荷が大きすぎるから難しい。だから、私は一人で生きる力を持ち合わせていないといけないんだ。あと、一人で生きているのってなんか強くてカッコいい気がしない？（笑）」

そんな風に答えた気がする。

でも、本当にそうだろうか。本当はずっと変わらない何かが欲しいし、疑いもなく当たり前に傍にいてくれる誰かと一緒にいれるのなら一緒にいたいとそう思う時がある。

自分が辛い時には「大丈夫？」って真っ先に話を聞いてほしい、どこかに行く時は当たり前のように一緒に行って楽しい気持ちを共有したい、逆に相手が辛い時はできる限り支えてあげたい、本当はそんなもっと近しい関係の相手がいてほしいのではないだろうか。

でも、仕事や趣味に没頭して一生懸命気づかない"ふり"をしているだけ。虚無感に襲われそうになったら、毎日をもっと忙しくして蓋をしてしまう。私は、いつも無意識下でそうやって生きている。

大人になるにつれ多くの人が恋愛に走りだして、子供の頃の友情とやらはどんどん希薄になってゆく。20代後半ともなると結婚・出産する人も多く、周りから1人また1人と消えていくような感じがする。そのうち私は本当に一人になってしまうのではないかと、怖さを感じる。

でも私は恋愛感情がわからないから一人でいいとそう思っていたし、今でも変わらずそう思っている。今はパートナーがいるけれど、一般的な人達が思うパートナーとは違う関係値だ。

彼と一緒にいるときは、もちろん楽しい。これからも色々な会話をして体験をして、一緒に成長できたらいいなと思う。ただ、私は彼を独占したくない。それは私が独占されたくないというのも関係しているけれど、一番は彼が私に縛られて楽しく生きられなくなったら嫌だから。

そんな風になるくらいなら、私は彼との関係を切るだろう。私は誰の足かせにもなりたくないのだ。

私が大切だと思う人には、できる限り幸せを感じて生きていてほしい。そこに、私が関わっていなくても相手が幸せに生きているのが分かれば私は十分嬉しいから。別にこれは、パートナーに限ったことではなく家族でも友人でも私にとっての大切な人であれば同じこと。

あと、私はもうずいぶん前から強い人であろうと心に決めている。他の人がどんな状況であろうとも、揺るがない私であれるように。たとえ、仲の良い人が全員消えてなくなってしまったとしても生きられる私であれるように。

そんな風にしているからか、友達にはよく「みなは強いよ。どんなときも、一人で全部やってのけるもんね。それが本当にすごい」と言われる。

でも、それは果たして良いことなのだろうか。強くなるにつれ、どんどん誰も寄せつけなくなっているような気がして怖い。

でも、いざ「助けてあげるよ」と手を差し伸べられたところで、今の私はその手をはねのけてしまうだろう。

パートナーからも昔、「一人で本当に大丈夫？みなさんは他の女の子よりもしっかりしているし強いように見えるけれど、でも辛かったりしない……？」と聞かれたことがあった。

そのときも私は「うーん。でも、自分の人生の責任を取れるのは結局自分だけだからね」とそう答えた。

絶対一人で大丈夫！なんて、そんな声を大にして生きられるほど今の私は強くない。中学生や高校生の頃は自信満々に言っていた気がするし、今でも他人からそういう話を振られたら「大丈夫です！私のことなんて気にしないでください（笑）」って虚勢を張ってしまうかもしれないけど、実をいうと一人で生きていけるよ！なんて胸を張って言えるほど私は自分に自信がない。

そう、私は誰に言われなくともとっくの昔に気づいている。一人で生きるのが、どれほど大変か。

1年後・5年後・10年後、私はどうなっているのだろうかと考えを巡らせることが多々ある。今の仕事は、今後も続けられるのだろうか。今の仕事ができなくなったとしたら、次はどんなことをしようか。親に介護が必要になったら、どうしようか。

自分が病気になったら…？老後、身体が動かなくなったら…？そんなことを考え始めたら、今から怖くて仕方ない。だから、生涯を共にすると誓ってくれる人を探す人が多いのも普通にわかる。

そして、私に対して周りの人が何を言いたいのかもわかっているつもりだ。

それは、

「一人で生きていくのは難しいよ。だから、もっと俺を（私を）頼って」

といった言葉かもしれないし、

「しっかりと支えてくれる人を作った方がいいよ」

といった言葉かもしれない。

でも、私はまだその手段には出たくない。それは、誰かに頼ることが自分を弱めてしまう気がすると思っているから。

困っても誰かが助けてくれる、この人が助けてくれるって信じていても助けてくれなかったらどうするのだろうと、そう思うから。

弱さを認めて周りを信じればいいだけなのかもしれないけど、私にはそれがまだ難しい。助けてもらえなかったことが過去にたくさんあるから、人間自体をそもそもそんなに信用できない。

だから、私はまだ「一人で生きる」を選ぶのだ。