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多様性の見える化 

米国組織理論家カール E.ワイクは、「問題ではないと思わない限り、問題を解決できない」と言った。一見矛盾するようだけど、解決可能と強く信じることが、解決への第一歩なのだ。日本のジェンダーギャップ解消が進まないのは、問題の輪郭が捉えづらく解決できる気がしないと思われているからなのではないか?そこで、「多様性の見える化」をテーマに、個人の経験をもとにブログを書くことにした。

企業における人事部DEIグループの主要な業務は、多様性方針の策定、アンコンシャスバイアストレーニングやワークショップ、アンケート調査、対談や講座などのイベント企画だ。スタンフォード大学のダイバーシティ授業の必読書『DEI Deconstructed』は、それらが企業の多様性推進にマイナスの影響を与える可能性があることを知っていますか?と、質問を投げかける。Lily Zheng. (2023). DEI Deconstructed: Your no-nonsense guide to doing the work and doing it right. Berrett-Koehler Publishers, Inc.

一般的に、方針は全社員向けメッセージであり、現状を変革するアクションを促すものではない。その結果、多数派の人々は、現状は完璧ではないけどいい線行っていると思い、少数派の人々は変革が必要と感じている。ここに深淵の溝が広がる。また、マイノリティが少数派である理由は、歴史的文化的背景があり複雑だ。それを、数時間の研修などで単純化され教えられても、腹落ちしない。結局のところ、会社は社員のマインドセットを変えることをKPIにはできないのだ。

私はこの一年間、ウェビナーに参加して女性活躍推進に成功している会社の事例を学んだり、アンコンシャスバイアス研修を外部講師を招いて企画したり、社内女性の横ネットワーク機会を提供する任意サークルを立ち上げたり積極的に動いた。さらに、経営企画部と一緒にイノベーション x 多様性プロジェクトを立ち上げたり、女性社員向けにパーソナルコーチングを提供したりもした。ところが、全社の女性管理職比率は昨年度に比べて下がったのだ。私のアクションは、指導的な役割女性を増やすKPIに対し、効果がなかったことを認めざるを得ない。周辺をぐるぐる回っている暇はない。経営陣とともに全社的なDEIの戦略を策定したい。


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