僕の物語|一般的なこども
一般的なこどもはさ、寝るのがもったいないと思っちゃうんだ。早く寝なさいって、言われるとつまんない気持ちになるし、遅くまで起きていてもいい日は、嬉しくてワクワクする。はしゃいじゃうんだよね。1日が終わっちゃうのがもったいないと思うのかも。損をしたくないんだよ。早く寝たら、1日が短くなっちゃうでしょ?
あ、僕のことってわけじゃないよ。一般的なこどもの話だから。
あと、一般的なこどもはね、布団の中でじっとしていると、ヒマでヒマで嫌になっちゃうんだ。こどもは大抵、ヒマが嫌いだし、耐えられないんだよ。だって、すごくすごーく時間が長く感じられるんだ。朝までが、気が滅入るくらい遠いんだよ。
目を開けているのか、閉じているのかわからなくなる、真っ暗闇な部屋のベッドでそんな時間を過ごすと、嫌なことをぐるぐる考えて悲しい気持ちになったりすることもあるんだよ。
部屋の真っ暗なのか、頭の中の真っ暗なのか段々と分からなくてなってくるうちに、頭の中の僕が勝手にしゃべり出すんだ。例えば、今日ケンカした二人の友達が、明日もその次の日もケンカしたままだったら、どちらと仲良くするんだ、とか。困るよね。どっちも友達なのに。ケンカしたままだとみんなで遊べないから楽しくないし、どっちも僕を味方にしようとしてくるから板ばさみなんだよ。
でも、不思議なことにさ、一般的なこどもはね、気付いたら寝ちゃってるんだよ。なんでだろうね。朝まで過ごすのはあんなに大変だと思っていたのに、知らないうちに朝なんだ。しかも、朝になると、寝る前の嫌なぐるぐるは消えていて、起きてトイレに行くと、もう、朝ごはんと観たい動画のことで頭がいっぱいになってるんだよ。朝の時間も無駄にはできないからね。こどもはとにかく、損をしたくないって、思っているからさ。
あ、明日の朝ごはんはピザトーストにしてほしいな。こどもはピザが好きなんだよ。
ーーおやすみなさい。
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