〔小説〕キセキ~at Cafe Yuko~・全文
※3回に分けた小説の全文掲載です※
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「まあ、お母さんに彼氏がいるのは、何となく知ってたけどさ」
いつもより早口で言いながら、幹子は隣にいる私と、テーブルの向かい側に座った、健太郎の顔を順番に見る。
「でも、よりによって、何で三沢先生なの」
そして、私ではなく、彼にその問いをぶつけた。
Cafe Yuko。窓の大きなこのカフェは、健太郎と私にとって、大切な居場所だ。山小屋をイメージしたウッディな内装と、壁にかかったピンクの花束の水彩画が、店内の空気をやわらかく