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執念の合格

私自身、中学受験・高校受験と経験している。

中学受験は悲惨だった。
お受験事情では、小学3年生頃から受験準備を始めるのが暗黙の流れで、私が受験すると決めて受験向けの塾に所属したのは小学5年生。しかも入塾テストなるテストがあり、1回不合格になった始末。
2回目で合格し、入塾したものの、周りは既に受験に向けた準備が着々と進んでいて、私よりも頭2つ分抜きん出ている様子だった。現に授業の最後で苦手な算数の「全て解き終わるまで帰宅できない。」というテストが何回もあり、どうしても、どうしても解けなくて疲れて眠いし泣きながら机に突っ伏していた事も何度もあった。その時間、当時午後11時をざらに回っていた。車で通塾していた私は、母をずっと待たせていた。

受験当日。まさかまさかの高熱。インフルエンザに罹患していた。
両親もこの日の為に精一杯のサポートをしてくれていたので、受験校側に「保健室受験は出来ませんか??」と頼み込んでくれたが、認められず…。フラフラになりながら他の受験生と同じ教室で受験・面接をしたが、意識は朦朧。結果は数日後に受験校内某所にて貼り出されるシステムだったので、熱が下がった私は、母と車で観に行ったが、私は車からは降りなかった。降りて観に行くまでもないと自覚していたから。一番傍でサポートしてくれていた母には申し訳なさしか残らなかった。
帰り道に「よく頑張ったから、ご飯を食べに行こう。」と言われ、ご飯屋さんに向かったものの、泣きながら食べていた。母は

「終わった事だし、あの状況だったら仕方ないよ。よく頑張った、お疲れさん!」
と慰めてくれた。

インフルエンザに罹患しつつの他者との同室受験は、現在では考えられない事例と思うが、もう何十年もの話、時効という事で学校側・受験者側双方でご了承を願いたい。

時は経ち、3年後。
中学3年の時の当時の担任の先生と私は、とにかく性格上合わず、登校が苦痛と感じていた。
そんな日々で行われた「2者面談」。担任は私が志望する高校よりも2段階下の公立高校を提案してきた。
当時は中学受験で通っていた塾の別の支店の塾へ転塾し、転塾前の塾長がびっくりする程に成績を伸ばしていたので、担任の先生からの提案を受け入れられず、泣きながら帰った。その様子を見ていた人がいたようで、帰宅後に慌てて担任の先生が自宅へ駆けつけた(この辺りの記憶はショックと怒りでうる覚え…。)。母もその先生については良くは思っていなかった為、私立高校の提案をしてくれ、学校見学に行った。私自身も校内の雰囲気を含めて気に入ったので、この学校への受験を決意。専願だったので、合格すれば辞退は出来ない。私自身1番の得意科目が受験科目に入ってなかったので、いささか不安はあったし、担任の先生は難色を示したが、

「この先生を絶対見返す!!」

という強い思いが湧き立ち、押し切るような形でそこからひたすら勉強に励んだ。幸い同塾で別の中学校から来ている友人も同じ高校を受験すると知り、お互いに切磋琢磨できる同志がいて良かったと、今になって思う。塾の先生にも怒鳴られながらも必死に喰らいついた。
受験数日前~受験日までは前回の教訓から体調管理には細心の注意を払い、体調万全で臨めた。それだけでもホッとした。
受験科目は4科目、そのうち2科目は厳しいかもと思いつつ、もう2科目は割とすらすらと回答できた感触があり、その旨を公衆電話から学校へ連絡した。
受験結果は郵送方式。緊張の封書開封。手にした時に90%合格の手ごたえ。何故ならば、合格していた場合、入学案内が同封されているので、重みがあるから。
家族の前で開封する。無事、合格
ガッツポーズで家族と喜びに湧き立った。ひとしきり落ち着いた頃、学校の方へも合否連絡をしなければならなかったのだが、生憎週末だったので、唯一自宅の電話番号を知っていて、私の事を可愛がってくださっていた学年主任の先生の自宅へ電話。実はこの学年主任の先生の子供と私は、同学年かつ同じ塾に通っていたという不思議なご縁があったので、目にかけて下さっていた部分もあっただろう。電話口でわが子が合格したかの如く喜んでくださった。

合格通知を持参しての週明け始めの登校。学年主任の先生から連絡が渡っていて、学年の先生も祝福のお声がけをかけてくださった。先述の担任の先生は、何か奥歯に物が挟まったかのような口調で「良かった。」とのみ言葉を。自分の中で担任の先生に対して持っていたモヤモヤした気分が、すっきり晴れ渡った瞬間だった。

あの時、あの選択をしたから、自分の人生の後悔を、初めて自分の力で巻き返す事が出来た。加えて、私自身のハングリー精神が養われた時間でもあった。
そして何十年も経った現在、友人の子供が私の母校を受験させようと思うんだけど、と相談を聞いている。

#あの選択をしたから #応募投稿
#青春

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