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ジョイス・キャロル・オーツ『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』栩木玲子訳、河出文庫

ちょっとご無沙汰です。なんだかnoteに来るのも久しぶりだな。本を読む気分にならない日々がつづいてましたが、そろそろ復帰します。

ジョイス・キャロル・オーツの2冊め。独特の悪の表現が魅力の作家だ。今回のはスティーブン・キングを彷彿とさせるようでありながら、でもキングよりも人間の心のあれやこれやがうまく描きこまれていて、迫力があった。

最初の「とうもろこしの乙女」は誘拐されて閉じ込められる少女の話で、読んでいて辛かったが、娘を誘拐された母や間違って逮捕された男の気持ちが丁寧に書きこまれていて辛いだけではない話だった。訳者あとがきによれば、この誘拐のヒントになったのは先住民の呪いのとうもろこし人形だが、とうもろこしはもともと先住民の食べ物だったので、博物館のとうもろこし人形をきっかけにとうもろこしのひげのような美しい髪の少女を誘拐するという犯人の発想は倒錯したアメリカン、なのだそうだ。

「ヘルピング・ハンズ」は、夫を亡くしてさびしい世間知らずな女の、無思慮で不安定な行動が、読者の予想どおり不幸な結末に向かう。結末は予想通りでもそこに至るまでの展開が面白い。これはオーツ自身が愛する夫を亡くして悲しみに沈んでいた経験がもとになっているとのこと。

最後の「頭の穴」は不本意ながら美容整形の医者になった主人公が、「頭に小さい穴を開けてほしい」という患者の依頼を断り切れず、ついに穴を開けてしまう話で、これはけっこう怖かった。考えたら頭の手術をする神経外科医は、よく他人の頭に穴を開けられるものだと思う。医者には独特の業のようなものがあるのかな。それに医者も何科の医者になるかによって、ヒエラルキーがありそう。神経とか心臓とかはエリート意識が強そうだ。知らんけど。

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ということで、秋ですし、またぼちぼち本を読んでいきたいです。ところでnoteに感想を書いた本もだいぶ増えたんですが、自分の記事を検索で探すにはどうしたらいいんでしょうか。リストの下の方までズズーッと下がって探すのがちょっと面倒なので、もし検索方法をご存知でしたらおしえてくださいませ。  
→→→わかりました。「クリエイターページ→記事の検索」でした。


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