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レイ・ブラッドベリ『猫のパジャマ』中村融訳、河出文庫

短編集だが古いものは1946年執筆のものがあり、新しいのは2003年のものもある。訳者あとがきによると、ブラッドベリは多作の人で、書いたものの発表せずにしまったままの原稿が多かったとのこと。そこから発掘されたものもこの短編集に含まれている。猫の表紙がかわいい。

最初の短編「さなぎ」は海岸近くに引っ越してきた黒人少年が白人少年と仲良くなる話。白人の方はビーチで毎日日焼けし、最後は黒人のように黒くなるのだが、やがて日焼けした皮膚がむけて白人に戻ってしまうが、黒人は黒いままだ。今なら黒人を主人公に取り上げた小説は珍しくないが、この小説はアメリカで公民権運動が起きるよりも前に書かれたもの。ほかにも黒人の老いた元メイドの話もある。

毎晩、寝る前に1篇ずつ読んだ。面白いものもあったが、読み終わっても「けっきょく何が起きたんだろ?」とよくわからなかったものもあった。(「ルート66」は結局どういうことだったの?)でもまぁ表紙がかわいいのでよしとするか。「猫のパジャマ」とは「すばらしい人・もの」の意味とのこと。表題作はほほえましい。

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