今、大人女子の間で静かに沸き起こる鈴木亮平さんキュンブーム

(視聴率を意識した酷評ばかりが目立つ中、本当にドラマにはまった筆者が熱く語るため、長文になっております。ご了承ください。)

こんな偶然ってあるのだろうか。

鈴木亮平さんをブレイクせしめた2014年の朝ドラ「花子とアン」の地上波再放送と、2021年春ドラマ「レンアイ漫画家」の放送が同時進行しており、今、大人女子のキュンをわしづかみにしている。

「花子とアン」NHK第一夕方4時20分より放送中


「花子とアン」は、2014年春に放送された朝ドラ。今も世界中で愛される「赤毛のアン」を激動の戦争を乗り越え初めて日本語に翻訳し紹介した、村岡花子さんの半生を元に描いている。そのストーリーには「赤毛のアン」から抜粋したエッセンスも随所にちりばめられいて、アンのファンにはたまらない内容だ。普通そうで「いたって非凡」なヒロイン花子の周囲には、愛すべき個性的な人々がいるのも魅力的。恋愛ターンでは不倫の恋を真っ向から描いたり、後半は関東大震災や最愛の息子との別れ、戦争などを経て、人とのつながりから花子が「赤毛のアン」を翻訳するまでを感動的に描いている。平均視聴率は22.6%、最高視聴率も25.9%と大変な人気作だった。

そして、今だからこそすごいと思わせる俳優陣。鈴木亮平さんをはじめ、黒木華さん、賀来賢人さん、土屋太鳳さん、窪田正孝さんなど、当時はフレッシュだった若手俳優のほとんどが、今や主演クラスの人気俳優に成長している。舞台を中心に活躍していた吉田鋼太郎さんが、テレビでブレイクしたことも記憶に新しい。今や共演なんてスケジュール的には無理だろうと素人でもわかるくらい豪華な面々。当時はまって見ていた視聴者の一人としては、実に嬉しいの極みなのである。

1月から再放送がはじまり、途中、国会中継などイレギュラーをはさみつつ、コツコツと放映が進んできた。今回初見ではまった、という人の声も何人か聞く。わたしは2度目の再放送を含み、これで3度目の視聴なのだが、相変わらず鈴木亮平さん演じる村岡英治沼へはまっている。


村岡英治は、まさに鈴木亮平さんに当たり役だった。スーツ姿のスタイルの良さ、スマートなたたずまい。なのに笑顔はチャーミングで、優しさとユーモアをたたえる。役作りに真摯に取り組む努力もすばらしく、亮平さんがこのすぐ3年後に大河ドラマで堂々と主役をはる名優になるなんて、今でも感慨深く勝手に誇らしい。無骨でおおらか、才気と熱情に溢れる男の中の男を演じさせたらダントツ1位の俳優さんだが、亮平さんの持つギャップの中で女子をキュンとさせるのは、優しさ溢れる雰囲気、ちょっとたれ目で白い歯を見せるキュートな笑顔。そして柔らかくも激しくも変化する声だろうか。

しかし、ここのところまた放映は中断。第15週「最高のクリスマス」後半の第88話を最後に大相撲が開幕して約2週間待たされた。そのあとの第89回は、朝市と英二がドミンゴのバーカウンターで対峙する神回。許されざる恋に苦しむ村岡英治の亮平さんもさることながら、はなに幼少のころから片想いをしてきた木場朝市役の窪田正孝さんもいい。

ドミンゴのクリスマス会でぶどう酒をつい2杯以上飲んでしまい(はなが正常でいられるのは2杯までである)、酔っ払ってふらついてしまったはなの右腕と左腕を、それぞれ朝市と英治がつかむ。はなの様子から、朝市ははなが甲府で捨てようとした英英辞典を贈った男は英治だと感づき、客のいなくなったバーカウンターで問い詰め、はなが英治のせいでどれほど傷ついたかを静かな怒りとともに語りだす。

いやいや、大相撲ファンには悪いが、この回の直後に2週間も待たすなどんてひどい。逆にこじらせのやり方が天才である。NHKに拍手を贈りながら2週間を一ヶ月ほどに感じながらもひたすら我慢した。そしてようやく待ちに待った第89回。

「・・・ちょっと待ってください。どうして僕にそんなこと言うんですか。あなたは、僕よりずっと彼女のことをわかってる。朝市さんこそ、はなさんのこと好きなんじゃないんですか」

「はい。おらは、はなが好きです。ボコのころから、はなはずうっと、おらのそばにいました。いつかおらのお嫁さんになってほしいと思ってました」

「・・・そんなに思っているなら、あなたが、彼女と結ばれるべきだ」

「まだ、わからんだけ!おらじゃだめじゃ!・・・あんたじゃなきゃ、だめど!」

(花子とアン第89回より台詞を引用)

英治は、朝市の中にはなへの深い愛があるのを感じる。自分より花子のことを愛した期間が長い朝市へ嫉妬もにじませながら、心とはうらはらに朝市を後押ししようとする。そしておっとりした朝市が、初めて感情的に声を荒げる。若き日の名優たちの色気のある演技に胸が震える。

そして、鈴木亮平さんファンにとっては、「花アン」のキュンが最高潮になっているころ、また怒涛のキュンが押し寄せた。「レンアイ漫画家」での鈴木亮平さんが演じる刈部清一郎だ。

「花アン」休止直前の「レンアイ漫画家」第5話では、清一郎が自ら描いたキャラ「サカイ」に豹変し、まるで村岡さんをほうふつとさせるジェントルマンな姿にうっとりさせてくれた。こんな幸せってあるの?という亮平ファンのときめきに拍車がかかった。

そして続く第6・第7話では、あいこと清一郎の距離が縮まり、愛を知らない無愛想な清一郎が、あいこの存在により少しずつ本来持つ優しさが見えてきた。コミカルな不器用さがいとおしく、迫力と繊細な切なさ、そしてユーモアを備えた鈴木亮平さんの演技力に、すでに名優なのにまだギャップを持ち合わせていたのかと感動するほかない。

近頃、鈴木亮平さんは男らしさ溢れる映画やヒューマンドラマの重要な役どころでその演技力をいかんなく発揮している。が、ここにきて「花子とアン」でのブレイクせしめた女性をとりこにするスマートな甘さを思い出させてくれ、「レンアイ漫画家」では粗暴な男が愛を受けとるという過程で女性のハートをドキドキさせている。こんな役柄がダブルパンチで見れる今、これを、鈴木亮平ブームと言わずに何というのか。

再開した「花子とアン」には、英二を忘れようと必死に立つ花子(はな)にまるで贈り物のような展開が待っていた。
花子への愛を知ってしまってから罪の意識にさいなまれ、すっかり笑顔を失ってしまった英二も、朝市に叱咤激励されたり、亡くなった元妻・香澄の天使のような愛情に包まれ、晴れてふたりは結婚する。幸せな夫婦になっている今週の村岡夫婦がいとおしいが、今後のストーリーには、悲しい展開も待っている。

いつでも人生には曲がり角が現れる。そして生まれた愛は絶対に消えない。神は天にいて、世は全てよいのだから。村岡夫婦を見守っていこう。

そして「レンアイ漫画家」は、近々第8話に突入する。




フジテレビ「レンアイ漫画家」第8話予告


清一郎の初恋の人でレンの母親・美波の出現が、あいこと清一郎にどのようなスパイスとなり、野獣の魔法が解けるような素敵なハッピーエンドを見ることができるのか。
吉岡里帆さん演じるあいこと、亮平さん演じる清一郎の迫真の愛の演技に注目したい。

鈴木亮平さんキュンブームの流れのあとには、7月にはTBS日曜劇場の「TOKYO MER」での主演、8月には映画「孤狼の血 LEVEL2」での最強の悪役、10月には「燃えよ剣」の新撰組局長・近藤勇などの役柄が待ち受けている。
これから一年中鈴木亮平さんの演技に酔いしれることになりそうだ。このいい流れで、ファンとしてはこの鈴木亮平さんイヤーを影ながら応援していきたい。

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