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映画の花束 〜 1本1本に想いを込めて

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ミモザフィルムズにまつわるエピソードをゆるりと綴ります。
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<『グッド・ワイフ』公開に寄せて>

前回の投稿からかなり時間が空いてしまいました。 今まで公開してきた作品の監督やキャストの来日の裏話を連載しようと思っていたのですが、本日公開した『グッド・ワイフ』の準備に忙殺されておりました。 今回はこのコロナ禍の影響をモロに受けてしまった『グッド・ワイフ』について。『グッド・ワイフ』はメキシコの1980年代のセレブ主婦の栄枯盛衰をスタイリッシュな映像で描いたドラマです。アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』からちょうど10年後のメキシコシティが舞台です。

映画の花束 〜 1本1本に想いを込めて #7<来日ゲストとの思い出:天使のヤナちゃん>

#6<映画の買付を決める瞬間>は 映画の公開前の宣伝活動として、マスコミ試写会を行いメディアに売り込んだり、一般試写会にゲストを呼んでトークイベントを行ったり、企業やお店などとタイアップをしたりと色々ありますが、最も大変だけれど楽しいプロモーションは来日ゲストを迎える事だと感じています。 弊社では、可能な限り監督や主演俳優を招聘しています。残念ながら7月10日に公開するメキシコ映画「グッド・ワイフ」では、監督と主演女優を招聘する予定でしたが、コロナ禍で断念しました。 ゲ

映画の花束 〜 1本1本に想いを込めて #6<映画の買付を決める瞬間>

#5<「大いなる沈黙へ」公開までの長〜い道のり パート2>は 2回にわたって「大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院」を買い付けるまでの長〜いお話にお付き合いいただきました。 弊社は今年の12月で創立9周年を迎えます。 今日現在まで24本の作品を配給してきましたが、作品に出会ってから買い付けるまで、「大いなる沈黙へ」のように6年もかかったものもあれば、出会った直後に勢いで買ってしまったものもあります。 業界ではこれを”映画祭フィーバー”と呼ぶのです

映画の花束 〜 1本1本に想いを込めて #5<「大いなる沈黙へ」公開までの長〜い道のり パート2>

#4 <「大いなる沈黙へ」公開までの長〜い道のり> は 前回は映画をようやく買い付けるまでをお話しました。 さて、この映画、ドイツ人のフィリップ・グレーニング監督が 1984年に修道院に撮影を申し込んでから、 2005年に映画が完成するまで 実に21年もかかってるのです! えらい辛抱強い監督だなあ、 と感心しきりでしたが、 かく言う私も 買い付けるまで6年、岩波ホールで公開するまで2年、計8年かかったのでした。 そして岩波ホールさんも粘り強く待ってください

映画の花束 〜 1本1本に想いを込めて #4 <「大いなる沈黙へ」公開までの長〜い道のり>

#3 <運命の映画との出逢い> は↓ さて、2006年のトロント国際映画祭で上映された映画が、 日本で公開されるまでなぜそんなに時間がかかったのか? と皆さん不思議に思われることでしょう。 映画が日本で公開されるには、その映画の権利を買って日本で配給する 「映画配給会社」という存在が必要です。 最初にこの映画を見つけた当時に私が在籍していた配給会社では、社内の同意が得られずこの映画を買い付けることが叶いませんでした。その後吸収合併となり転籍した会社、その後に転職し

映画の花束 〜 1本1本に想いを込めて #3 <運命の映画との出逢い>

#2<会社設立直後にまさかの⁉︎> は↓ 2012年5月15日、まさかの癌宣告から入院〜手術を経て、退院27日後にカンヌ映画祭に向けて出発しました。 体調は万全ではなく、 体力も落ちていたので自分でも 「よう行くわー」 と思いつつの出張です。 でも私の精神は前向きでとても充実していました。癌に罹ったことで私は術後に生まれ変わったのだと思いました。 新しく生き直すのだと。 やりたいことをやって、 会いたい人に会って、 行きたい所に行こうと。 何よりこの出張で

映画の花束 〜 1本1本に想いを込めて #2 <会社設立直後にまさかの⁉︎>

#1<ミモザフィルムズ誕生まで> は↓ 2011年12月8日にミモザフィルムズを立ち上げました。 最初の買付作品は業界仲間のセテラの山中陽子社長に声をかけていただき、 (実は山中さんとはかつて一緒に宣伝していたある映画が、提供会社の権利料不払いにより、マスコミ試写会当日にフィルムが差し押さえられて大変な目に遭った当事者仲間です) 大好きなバレエのドキュメンタリー「ファースト・ポジション」を共同買付・配給することになりました。 タイトルからして最初の作品にふさわしい、

映画の花束 〜 1本1本に想いを込めて #1<ミモザフィルムズ誕生まで>

この度は「Help! The映画配給会社プロジェクト」にご支援または興味を持ってくださってありがとうございます。 ミモザフィルムズ代表の村田敦子です。 弊社はこのプロジェクト第1弾配信チームのセテラさん、クレストさん、ザジさん、ムヴィオラさんら、創立20年~30年の会社さんに比べるとまだまだヒヨッコの創立9年目を迎えた小さな会社です。 他の皆さんのように、若くして志高く自分の会社を立ち上げた! という感じではなく、長い間会社員としていくつかの会社を転々として、気がつい