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6/8:「いい加減にゴールさせて」期

虐待や性被害のトラウマで依存症・PTSD・複雑性PTSDと、名前からして明らかにややこしい精神疾患を患っていた三森みさです。

▲8話まで無料公開中です。

▲先行公開の有料noteもあります。

今回は依存症・トラウマからの回復プロセスとともに、心境の変化をまとめてみました。全4回です。(※長くなりすぎて見づらいので8回分割しました)

▲他の回はこちらからどうぞ。

全て自分の経験で、エビデンスとか心理療法的にどうとかは存じませんが、回復を目指される同じ仲間の皆さんの参考になれば幸いです。



6:「いい加減にゴールさせて」期

5:「回復楽しィィィ」期の勢いで、イケイケハイテンションで楽しい楽しいとあれこれ進めた先にやってきた時期です。
5:「回復楽しィィィ」期の人と、次の7:「ドキドキ★安定期」はわかりやすいんですが、その間の中途半端な時期のせいかあまり目立ちません。

終わりがないのが"終わり"なのか…?

この時期に入った理由の一つとして、とにかく治療努力時間が長すぎた。この一言に尽きるでしょう。

「治療努力」たるものをやってもやっても、な〜んかスッキリしない。
流石にこの時期になると「回復とは普通の人間よりも超越者になること」「回復すれば薔薇色ハッピーライフが待っている」という幻想は打ち砕かれています。
一方で、いつまでも「普通の人と違う」生活をしていることに、疑問をうっすら持ち始めます。「回復に終わりはない」「回復とは人間の成長」っていうけれど、な、なんかこれは違うくね…?え?そういうもんなの…?割り切れない自分がダメなのか…?とぼんやり疑問に持ち始める時期です。

若干「もうええやろ」と思ってる図

いやね、ほら、私は依存症だからさ?酒もギャンブルも薬物も抜いてますし、ゲームもあんまりやってません。
私に限らず、依存症にかかって回復した人は、人によっては一般の方よりも快楽物質を制限した生活をする人もいますから、そういう意味では普通とはちょっと違うかもしれません。
自助グループも日本じゃ馴染みがないので普通じゃないっていったら普通じゃ……。書き出してて思ったけど、啓発活動してるのも普通じゃねえな!ベースから説得力ねえな!ま、それはわきに置いといて。

確実に心身ともに体調は良くなっているのに、気圧の対策はしないといけなかったですし、天気を逆算して有酸素運動をする日を作らないといけない、しかも対策練っても体調悪くなるという(涙)
依存行為もトラブルもかなり減ってるのですが、ちょっとしたことで自分の人格が豹変したり(トラウマ反応)、依存「症」と言うほどではなくても、依存が妙に止まらなかったり…(買い物とかね)

私の想定してる「普通」の人…それは多かれ少なかれトラウマや逆境体験はあれど、自律神経がバキバキになってなかったり、自分の親ともまあまあ上手くいってる人(大体ここだよね)とは何かが違っていたわけです。
でもそれが何なのかがわからない。生き方哲学バトルなら勝てそうなのに、なんとも言えない、微妙な生きづらさが拭えない…。

その答えが欲しくて「これは幼少期の…」「12ステップのここが足りていない…」と自分の嗜癖探しをしていました。
しかしそれさえも
「この"治療努力"をずっと続けてること自体、ぶっちゃけ不健全では…?」「なぜ"治療努力"をやらなくてもいい普通の人間"にならないんだ…?」
「あっ…私って"治療努力"に嗜癖してる…!?(以下無限ループ)」
と真顔になる時期が増えました。

「やってもやっても何かスッキリしないワケ」私の場合は、身体療法が足りてなかった…というのが答えでした。ちょうどこの時期にトラウマ治療に出会いました。

逆に、早め早めにトラウマ治療に繋がって、プロと共に回復を目指すことができれば、必要以上の寄り道をすることもなく(そうあってほしい)こういう時期も来ないかもしれませんねえ…。それぐらい社会資源が充実して欲しいですねえ…。

地に足がついてくる

4:「回復に目覚める」期・5:「回復楽しいィィィ」期は、気持ちがあっても経験が足りてないので、本の知識や誰かに言われたこと、正しいことに振り回されがちでした。

ところがここまでくると色んな経験を体験してるのもあり、知識と合わさっていい感じ(???)になってたんじゃないかな〜と振り返って思います。「回復楽しいィィィィィ!うっひょおおおおお!!」みたいなテンションが上がりまくって浮ついた感じもなくなり、だんだんと落ち着いてきます。
この時期ぐらいから自分の体験談に謎の説得力を持ち始めるので、当事者として啓発活動をするには最適な時期です(笑)

もちろん完全に安定してないので、情緒は上下しやすいです。
しかし、気分が上がって調子に乗ることはあっても「あ〜また調子乗ってるな〜〜〜まあ…今はこの気分を味わっておこう…」と、自分の問題を冷静に自己分析できるようになってきました。
また、自分の問題にある程度向き合えてるので、トラブルを起こしても「自分のこういう癖が出てるな〜」とある程度客観的に観察することができるようになり始めました。あくまで当社比だけどね。昔は本当に自分の問題を認められなくてひどかった…

この時期の人を先輩として捕まえておくとお得です

個人的には、この時期の人は回復に関して相談する相手としても、物凄く最適です。
実体験に基づいたアドバイスと共に、共感もしてくれて、しかし自分も同じ立場だから上から目線にもなりづらいという、相談相手として申し分ない相手です。
自助グループなどでこの時期の人と出会うことができると、いい相談相手になってくれるかもしれません。相談したときに、完璧な解決策ではなく、"やたらと説得力のある体験談"を出してくる人を見つけましょう。

またこの時期のいいところは、相談される側も勉強になることが多いので、お互いにwin-winになりやすいところです。そういう意味では、12ステップ・プログラムは、自分が12ステップを教える側になることに物凄く意味があるんだなと痛感します。

逆にこの先の7:「ドキドキ安定」期に入ってしまうと、闇への共感が薄まっていきますし、日常生活で多くの困り事を抱えなくなっていき、少しずつ病んでる時の共感が減っていきます。そして病んでると、そこに勝手に劣等感を感じすぎて心が死んでしまいます。
ていうか、カウンセリングや自助グループも密かに卒業していくので、そもそも会う機会が減ります。
ロールモデルにするには最適ですが、先に行ってることが必ずしも参考になるわけではない、そんな気がする今日この頃です。

厄介なのはプライド

この時期に治療面で気をつけたほうがいいのは「治療努力を積み重ねたことでできた、プライド」です。
プライドが高いことが悪いことではないのですが、
「ここまでやってきた自負があるんだから、もう治療は終わってもいいでしょ?」「もう自分には学ぶことはありませんよ」
そんな方向に走ると、ま〜〜〜〜治療面で痛い目を見ます。ええ、私ですとも。

漫画ではややこしいので描きませんでしたが、ちょうどこの時期に差し掛かった頃にトラウマ治療に繋がったのもあり、
「ここまでやってきたんだ、金と時間を使いたくない。」
「いい加減に終わらせたい」
という気持ちが強すぎて、トラウマ治療の予約をいれるたびに「もう短時間でもいけますよね?」「あと何回来たらいいですか?」と担当者に質問していました。
そして担当者から毎回「う〜ん…まだ90分いるかなあ〜?」と返され続けました。そして実際に余裕で90分で終わらないというな。

これからトラウマ治療を受ける方にお伝えしたいのは、
何か拭いきれない生きづらさがあると感じてるなら、まだ自分の何かしらの問題が解決していないサインです。
経験は確かに知識よりも確実なものです。しかし、どれだけ研鑽を積んでも、生育歴の棚卸しをしても、自分のことを自分で客観視するのはいつだって困難です。

「もう大丈夫じゃね?」と思ってても、悪いことは言わない。
心理士の先生に「もう安定したね〜」ときちんと言われるまで、治療を継続することをおすすめします

「もう大丈夫」とかは、なかった

じゃないと気づいたら全財産を失うぞ★

次回に続く!


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