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ADHDが片づけが苦手な理由【当事者目線】

こんにちは、ADHD当事者のみもです。

今回は、ADHDの人が片付けが苦手な理由9選を、当事者の目線から詳しく解説していきたいと思います。

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①そのへんに物を置いてしまう

ADHDはワーキングメモリと呼ばれる、情報を一時的に記憶しておく脳の働きが弱いとされています。

たとえば片付けをしている最中にスマホの通知が鳴った時、スマホを確認している間も、ワーキングメモリが「今は片付け中だ」という記憶を保ち続けています
そのため、スマホを確認したあともまた片付けに戻ることができます。

しかしワーキングメモリが弱いと、片付け中にスマホが鳴った時に完全にスマホだけに意識が向いてしまい、今は片付け中だということを忘れてしまいます。

ワーキングメモリが弱いことは、部屋が散らかったり失くし物をしたりする要因にもなります。


たとえば家でスマホを見ている途中に宅配便が届いたら、スマホをその辺に放り出して受け取りに行く。

ハサミで開封したあと、ハサミをペン立てに戻さず机に置く。

梱包材は机の上に適当に散らかしたまま荷物に夢中に。

ふと時計に目をやるともうお風呂に入る時間だ!となってお風呂を沸かしに行く。

あれ、そういえばスマホどこにおいたっけ…??


こんな感じで次から次へと注目の対象を変えてしまい、注目しなくなった物はその辺に置いてしまうので、部屋が「その辺に置いた物」で積みあがってしまいます

ハサミなどは役目が終わった瞬間に全く注目しなくなるので、『使ったら元に戻す』ということも困難です。

このようにワーキングメモリが弱く、2つのことを同時に行えないことが、部屋が散らかる原因につながっています。


②他のものに興味が移りやすい

ADHDは気が散りやすく、片付け中に別の物事に興味が向いてしまうことが多くあります。

片付けていたら懐かしいアルバムが出てきてアルバムを読み始めてしまったり、DVDのある棚の片付けをしてたのに気づいたら映画を見始めちゃってた…なんてことが、私もよくありました。

この特性は片付けが進まないだけでなく、部屋が散らかる原因にもなります。

私の部屋でよく起こりがちなのは、途中まで読んだ本を、本棚にしまうとまた読む時に取り出すのが面倒なので、テーブルの端に置いておきます。

しかし次の日は別の本を読みたくなって本棚から出して、読み切れなかったら昨日読んでいた本の上に積みます

次の日また違う本を出して…ということを繰り返して、気づいたらテーブルの上が読みかけの本で溢れかえっています

ふつう、読んでいる本を途中で閉じたら、「続きが気になる!」とまた読み始めますよね。

しかし私の場合、どんなに面白いと思って読んでいても、一度区切りがつくと興味を失って、別の本に手を出してしまいがちです。

この興味のうつりやすさが、部屋が散らかる原因になっていることが多いと感じます。


③先延ばし癖がある

ADHDの人は衝動的に行動することを好み、あまり気分が乗らないことをやることに強い抵抗を感じます。

そのため「部屋ちらかってるけど、あとで片付ければいいや」という先延ばし癖がつきがちです。

足の踏み場がないほど散らかっても

「今日はつかれてるから明日片づけよう…」

次の日になれば

「今日は他にやることあるから明日片付けよう…」

と、どんどん理由を作って先延ばししがちです。

特にADHDの人は色々なものに興味を持ったり、探し物や準備に時間をかけてしまうので、常に「時間が足りない」と感じています。

さらに衝動性により「しなきゃいけないこと」よりも「やりたいこと」を優先しがちです。

そのため、片付けの優先順位を低く見積もり、どんどん先延ばししてしまいます。


④衝動買いが多く物が多い

ADHDの人は買い物に依存しやすく、部屋に物が多すぎる傾向があります。

自分の感情や欲求をコントロールする力が弱いため、ほしい!と思ったら置き場所などを考えずに衝動買いをしてしまいがちです。

また、人間の脳内にはドーパミンというホルモンが分泌されています。

このドーパミンは快感や幸福感を感じるホルモンなのですが、ADHDの人は定型発達の人よりもドーパミンの量が少ないといわれています。

そして買い物はドーパミンが多く分泌される行為であり、手軽に快感が手に入るため、ADHDの人は買い物依存症になりやすいといわれています。

そのため買い物でストレス発散をするようになり、物が増えすぎて片付けようがなくなるというパターンも多いです。


⑤物が捨てられない

ADHDの不注意の特性には、物の優先順位を決めるのが苦手という傾向があります。

そのため断捨離しようと思っても、捨てていいものと捨てちゃダメなものがわからないことがあります。

また私の場合、衝動買いしたものを「やっぱりいらなかったな…」と思っても、自分の失敗を認めなきゃいけないのが辛くて、すぐに捨てるという選択ができませんでした。

「せめて長く持ってれば必要だったことになるんじゃないか」と思い、あまり思い入れがないのに処分できずに置いてあるものが部屋にいくつもありました。

このように物をたくさん買うのに捨てることができないため、物でどんどん溢れて、片付けられなくなってしまいます。


⑥計画することができない

物事の優先順位を付けたり計画をすることが苦手なため、片付けなきゃ…と思ってもどこから手をつけていいのかわからない、どのように変えたらいいかわからない、ということに悩みます。

また、ADHDの人は時間の管理や計画も苦手です。

私はよく外出直前なのに服選びに時間をかけてしまい、何着も試着して「これで行こう!」と決まったら、脱ぎ散らかした服を片づけずに外出してしまいます。

そこで家族が私の部屋に入った時、床が服まみれでタンスの引き出しが全部開いたままなので「泥棒に入られたのかと思った」と言われたことがありました。

前日から服を決めておけばいいのに、もしくは早めに支度を済ませて服を片づける時間作ればいいのに、と自分で思うんですが、どうしてもギリギリになってからじゃないと服選びに集中ができないんですよね。

このような時間の管理が苦手なところも、片付ける時間がないというところに影響していると思います。


⑦考えすぎてパニックになる

計画や選択が苦手な特性を持つADHDにとって、片付けはとても頭と体力を使う作業です。

そもそも気が進まないことに集中することが苦手なので、片付けを始めだすことにも一苦労です。

そこでなんとか重い腰をあげて片付けはじめたものの、

「そもそもどこから手をつければいいか」

「これをどこへしまえばいいのか」

「これは必要か必要じゃないか」

「これをしまう場所は本棚?押し入れ?」と、

ADHDにとって答えを出すのが難しい悩みがたくさん出てきます。

そして頭がパンクしそうになって、とても疲れます

ADHDにとって片付けをすることは、頭も気持ちもとても疲れてしまう重労働なのです。


⑧片づけはじめると余計に散らかる

ADHDの人は片付けようとすると、

物の場所が決められないものが出てきて悩む、

懐かしいもの・気になるものが出てきて気をとられる、

と、さまざまな障害に見舞われるため、片付け中にとても疲れてしまい、最後まで片付けをすることが困難です

引き出しを整理しようと引き出しの中のものを全部出してみたけど、それぞれどこに戻せばいいか考えてるうちに体力が切れて、出したものがすべて床に散らばっていて最初より散らかっている…ということが毎度のことのように起こります。

片づけるつもりだったのに、その光景を見た家族には『ただ散らかしている』と思われて怒られ、余計に片付けへのモチベーションが下がってしまいます。

⑨片付けをあきらめている

散らかってしまうのは生まれつきの脳の特性であり、自力で治せるものでありません。

ADHD流の片付けのコツはありますが、それを知らなければ、片付けても片付けても元に戻ってしまいます。

私にとって片付けは、永遠にクリアできないパズルゲームをやっているような感覚です。

そんなものをやらされていたら誰だって嫌気がさしますよね。

子供の頃から片づけなさい、片づけなさい、と怒られてきたけど、どう頑張ってもダメだった、どうせ片づけられないんだからもういい、と片付けることをあきらめてしまいます。



以上、ADHDが片付けな苦手な理由9選でした。
この記事がみなさんの役に立てば、嬉しく思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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