コロナ下の今日という1日が成功したと言えるか?
4月から新卒として入った会社で研修も終え、フルリモートでの勤務にも慣れてきた今日この頃。
緊急事態宣言が出た時は、「しっかり家で過ごそう!みんなで乗り切ろう!」と意識的になってきましたが、最近はこの生活にもマンネリ化を感じ始め、ついには真夏も過ぎようとしており見えない焦りを感じます。
また、上京して友達も少ない中での一人暮らしの生活にはかなり寂しさを感じ始め、精神的な第2波のしんどさを感じつつあります。
仕事にはやりがいを感じるものの、何か味気ない。特に自分はチームで仕事をするのが好きなので、フルリモートでの働き方には成果を出せばOKという一方で、コミュニケーションの取りづらさがなかなか苦痛です。
会社の上司との1on1や、社員さんと相談してみると、やはり特に新卒で精神的に辛さを感じている人が相対的に増えているようです。
もちろん、変革の時期にはいろんな課題が浮き彫りになるものです。また、今まで当たり前で見えなかったところの本質的な良さを認識できたという点においては大きな学びがあったといって良いでしょう。人はソーシャルな生き物であり、グループを作って生き抜いてきた本能的なものを身を以て感じています。
そんな中、仕事に対しての姿勢についても考えさせられます。僕たちは、つい目の前のことをこなすことにフォーカスしてしまい、こなすことを目標にしてしまいます。しかし、その毎日が続けば本当の意味で仕事に対してのやりがいは失われてしまいます。リモートワーク化では特にそれを感じます。
経営理論を人生設計に応用した、クレイトンクリステンセンの著書「イノベーション・オブ・ライフ」では、給与は、仕事への不満(衛生要因)をなくすことには繋がるものの、モチベーションには繋がらないと論じています。
つまり、お金を稼ぐことを目標に日々仕事をこなすことは危険だということを示唆しています。大事なのは、自分が何をやりたいか / 何を得たいか(動機付け要因)を認識した上で、仕事をこなすことだといっていいでしょう。
自分がwell-beingありたいのなら、日々の仕事で、衛生要因(ステータス、報酬、職の安定)と動機付け要因(やりがいのある仕事、評価、責任、成長)のバランスが取れているかを見極る必要があるのです。(詳しくは、たんぜんさんの超訳が参考になります。)
これに関して、最近読んだ本の中でに出てきた「メキシコ人漁師とアメリカ人旅行者の話」が、仕事の意義に関して考えさせられたので引用します。
メキシコの田舎町の海岸に小さなボートが停泊していた。 メキシコ人の漁師が小さな網に素晴らしく生きがいい魚をとってきた。
それを見たアメリカ人旅行者が尋ねた。「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの?」
すると漁師は 「そんなに長い時間じゃないよ」 と答えた。
旅行者が 「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなぁ」と言うと、漁師は「自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だ」 と言った。
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」 と旅行者が聞くと、
漁師は
「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。 夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」と答えた。
すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。 それであまった魚は売る。お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。 そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。 自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。 その頃には君はこのちっぽけな村を出てメキソコシティに引っ越し、ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。 きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」
漁師は尋ねた。「そうなるまでにどれくらいかかるの?」
「20年、いやおそらく25年でそこまでいくね」
「それからどうなるの?」
「それから?そのときは本当にすごいことになるよ」と旅行者はにんまりと笑い、「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。 どうだい。すばらしいだろう?」
この話は数年前にネットで話題になったようで、人によってここから得られる解釈が異なるのが面白いですが、アメリカ人旅行者は、お金を稼ぐことを目標にして、最後の最後で真にやりたかったことが、実は自分が説教をしているメキシコ人が既にやっていたことだというオチに示唆を感じます。
これはまさに、お金を稼ぐという衛生的要因にしか目がいかず、本当にやりたいことにあたる動機付け要因を意識できてない一例だといっても良いでしょう。
僕たちもこのアメリカ人旅行者のように最後の最後でやりたかったことを悟るのではなく、日々の生活に意識的になる必要があるのです。
スティーブ・ジョブズは「もし今日が人生最後の日だとしたら、私は今日やろうとしたことを本当にやりたいだろうか」と毎日鏡に向かって問いかけたというのは有名な話です。
彼のようにストイックになることは難しいかもしれません。ただ少なくともお金よりも自分の動機付けをしっかり認識して1日を生きる技を、彼の背中から学ぶことができます。
「あなたの今日という1日は成功したと言えるでしょうか?」「何を持って成功したと言えますか?」「成功とは言えないまでも、それに近く努力はできたでしょうか?」
こう問いかけることが、コロナ化で日々に生きがいを見出す秘訣なのかもしれません。
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