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話しが長い自転車通勤

 錦町シェアハウスからの自転車通勤、カギの勉強堂で用事を済まして、OPAMに寄り道。

 「ときめき作品展」と「ジャンクションアート」を仕事の一環としてじっくりと観て回る。知っている作家さんの作品が幾つ展示されていて、中にはしっかりした値段で販売もされている。かつて北村直人先生の絵が手が届くくらいの値段から最近はもうとてもじゃないけど庶民、いや私には買えない値段になってしまった、そう考えると、知っている作家さんたちの絵も、徐々に値が上がっていって、作家さんたちは嬉しいだろうけど、私はなんだか遠くの人になって行くようで少し寂しい。

 こんな気持ちを私は勝手に「木綿のハンカチ症候群」と呼ぶことにしている。いつも一緒に遊んでた友達が、ある時から才能を開花させて、あるいは努力が認められて、少しずつ名が売れて有名になり、地方から都会へと出て行く。いつまでも僕を私を忘れないでおくれ、そんな気持ちがちょっとだけした作品展だった。

 道なりに進むと、西大分はかんたん交差点の信号待ち、函菖橋の欄干に足を掛けて、祓川を見下ろす。するとフグだとか、小魚が泳いでいる。今日は30センチサイズの魚も泳いでいた。観光港には海技教育機構の練習船大成丸が停泊している。

 さて、ここで事件発生だ。別府競輪場前の交差点で信号待ちをしていたら、足元の怪しいお爺さんが歩道から横断歩道を渡ろうとして、見事に転倒、自転車を倒して駆け寄って、声を掛けると、意識はしっかりしている。横断歩道の反対側からも近所のおばちゃんが駆け付けてくれて、一緒に抱き起そうとするも、聞けばぎっくり腰で身体に全く力が入らないと言う。体重も70キロは優に超えていそうだ。横断舗装の真ん中で、信号は青に変わっても車は停まったまま、私たちが横断歩道から履けるのを見守っている感じだ。結局、全身脱力のお爺さんを持ち上げられずに、横断歩道の縞々をゴロン、ゴロンと転がりながら、転がしながら4回転半で車道からの撤収完了。介護職としては抱えられない情けない感も残ったが、緊迫した状況からは取り合えず脱出。はてさて、これからお爺さんどうするよ。聞けば、そこの歯医者を予約しているから、行かねばならないと言い張る。見上げれば目の前の歯医者さんからも、衛生士さんが2人飛び出して来て、あら〇〇さん、どうしたのと驚く。お爺さん歯医者の予約どころじゃないから救急車を呼びましょうと、ごねる爺さんを説得して、歯医者さんに119番通報して貰う。

 救急車が到着するまで、歩道にリョックサックを枕に世間話、時にはこうして地べたに大の字で空を見るのもいいもんじゃと笑っている。歯医者の後は整骨院で、明日は大分まで行く用事があると、そうかいそうかい、そうは言うても、先に病院で腰をしっかり診て貰おう。なあ、お爺さんと言うわけで、お爺さんは救急車に乗せられて去って行く。

 ひと時の喧騒が嘘が去って、倒しておいた自転車を起こして、平田川を見下ろすと、ここにもまたたくさんの魚が泳いでいるではないか。これからが仕事だと言うのに、仕事の前が少々賑やかだ。

 仕事帰りは、山村先生を訪ねて「わかばそろばんスタジオ」まで、朝からリュックサックに入れておいたそろばんを届けに行って来た。私が小学生時代に使っていたそろばん、捨てる機会がなく眠っていたそろばんが、半世紀の時を経て、役に立つ機会を得たのだ。FBに投稿されたそろばんが不足しているとの情報、捨てなくて良かった。たった1本だけど、寄付する私の方が嬉しい、山村先生、貰って頂いてありがとう。お礼の甘いお菓子、そして教室に居た子供たちの賑やかな声で、私も元気を貰った。20221115

ここで頂く幾ばくかの支援が、アマチュア雑文家になる為のモチベーションになります。