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草取り考

 お盆の中日、朝に3袋、夕に2袋、蚊取り線香を腰に下げて庭の草取りに汗を流してみた。我が家は住宅地で一方向だけが道路に面して建っている。

 草取りを始めると、東隣の若夫婦のいつも白いプードルを散歩させているご主人が暑いですねと声を掛けてくれた。雑草の勢いの話を少しする。

 草取り話場所を南側に変えたら、南隣の少し年配の奥さんが、猫除けのペットボトルをブロック塀に勝手に置いて、ごめんなさいと丁寧に詫びに出て来てくれた。少しばかり野良猫話をする。

 夕方に南側の残りと西側の雑草に取り掛かると、西隣の一番仲良しの、ここに引っ越す前からのお付き合いのお隣さんから、よう頑張るなあと声が掛かる。先日、捕まえた亀が死んだ話をしたら、それは寂しい、ホテイアオイに金魚が卵を産み付けてるからあげるということになって、ホテイアオイごと頂く。その後はいつものように私の愚痴を聞いて貰う。あんたも大変やなと笑って聞いてくれるのがいい。

 最後は北側の浄化槽廻りの雑草と格闘していると、道路を挟んで向かい側の奥さんがガーデニングをしている。いつも我が家の玄関脇の花壇の植え替えから手入れまでやってくれる。もっと丁寧に挨拶をしなければいけないところを、ゴミ袋抱えて全身汗まみれ草まみれの会釈だけでスルーさせて頂いた。

 まさに「向こう三軒両隣」とはこういうことなんだな。魚釣りした釣果は西側のお隣さんが受け取ってくれる。貰った野菜のやり取りはお向かいさんと両隣でやったり貰ったり、令和となっても物々交換はまだ健在だ。

 さあ、年に何回、こうして草取りをするだろう。草取りが取り持ってくれる「向こう三軒両隣」とのお付き合い。これからも大切にしないとね。
20220814

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