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またお前か

 異変の兆しは金曜日の朝のこと、いつもの朝の豪快な放尿が鳴りを潜めただけに止まらず出が悪い。1年半前の夏の記憶が蘇る。あの下半身をキューと絞り込まれるような違和感がまたやって来てしまった。あの時にお前とは決別を約したつもりでいたのは私の思い込みだったか。診察するまでもないけど、薬がないとダメな奴だ。

 その日は中津で会議があるから、取り合えずコスモスの市販薬でやり過ごそうと、行ってみると、薬剤師は定刻で引き上げた後で、薬剤師でない店員のお姉さんに、症状を伝えて棚に案内して貰うと、それもなかなかなお値段だ。迷っいると、お姉さんが明日、病院に行くんだったら少し我慢されてみてはどうですかと申し訳なさそうに素敵な笑顔で、ことらの懐具合も勘案したもっともな提案をしてくれた。そりゃおっしゃる通りだと得心して、帰り際にコスモスのトイレに飛び込んで帰宅。

 その夜は1時間おきにトイレに駆け込みながら朝を迎えた。この1時間おきのトイレなんだけど、僅かな尿意を感知して、トイレに移動、トイレの扉を開けて一歩便座に近づくと、一気に尿意の我慢のピークに達してしまう。取り出しに時間をかける時間はない。そんな1時間おきは、便座が目に入ると、あそこがパブロフの犬になったのかと思う程の緊急事態だったのだ。

 翌土曜日、診察をしてくれる泌尿器を探すと意外にも近所にあった。行ってみると予約してない人は後回し、結局2時間半待ちで無事に、膀胱炎と診断、薬を処方して貰って帰宅。その日も日曜日も夕方あたりまで、トイレ駆け込み回数は徐々に減って行くものの、ほぼ寝たきりの状態だ。この寝たきりがまたいけない。腰が痛いのなんの、始終動き回っている奴が動きを止められてしまうと、こうなるのかと実感した膀胱炎の顛末だ。筋肉と違って鍛えようがないわな。20230219

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