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鉄アレイ賛歌

 汗ばむくらいの暖かさの中を自転車通勤、かんたん公園で赤白灯台に挟まれてみる。風見鶏も背景に入って貰う。お地蔵さんたちも一緒に整列、はい笑って。今日の気候は気持ちを持ち上げてくれる。

 道々には見えたり見えなかったりする境界線がそこらじゅうにある。車道と歩道、民家の敷地、線が引かれていたり、柵があったり、花壇があったり、何もなかったりだ。そんな公私入り乱れた境に意識をやって走っていると。

 あら、こんなところに鉄アレイが、もの言いたげに置かれている。本来の役割はとっくの昔に終えて、それでも捨てられることなく、ドアの押さえとして、しっかりと役割を担っている姿がいいではないか。もうここには住んで居ないかもしれない誰かが、学生時代の筋トレに汗していたであろう。ある時はエキスパンダーであったり、ブルーワーカーであったり、少し年も行ってからはぶら下がり健康器であったり、どれも破損したり飽きたり、物干しになったりして、どこかに消えてしまったのに、この鉄アレイだけは家のあちこちを転がりながらも捨てられることなく、こうして赤さびこそ増えてしまったが、未だコンクリートブロックを従えて健在でいる。まるで誰かに似ているではないか。誰にも気が付かれないかも知れないけど、私は見ていてやるから、これからも元気でな。

 帰り道、カモメたちに餌をやるおじさんに群がるカモメたちを間近に眺められるチャンスに遭遇、特に何かいいことをしたわけでもないけど、今日のご褒美としよう。20230202

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