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WEリーグファーストシーズンを終えて

おはようございます。WEリーグのファーストシーズンを振り返るエッセイを6月に書く、などとエッセイ計画に書き込んでいたけど、観戦レビュー集を作ったり、サポーターの方と交流会を2回開催したりして、もうやりつくした感がある。6月7日にはWEリーグアウォーズも開催されて全部観たし、自分なりに今シーズンのベストイレブンを考えてみたり、昨日の朝は、改めて、「we foot」を見直したりもした。ひとまず、私なりのWEリーグファーストシーズンをおさらいしてみよう。

1.ベストイレブンのこと

WEリーグベストイレブンはこちら。MVPは山下杏也加選手。

耳すまも、Twitterで、印象に残ったイレブンをつぶやいた。

WE FOOTでも、松原渓さんが選出するベストイレブンが発表されている(1:13:00あたりから)。WEリーグも私も選ばなかった選手としては、岸川奈津希選手(ジェフ)と、中島依美選手(神戸)、猶本光選手(浦和)が挙げられていた。

WEリーグ、耳すま、松原さんが共通して選んだ選手は、山下杏也加選手(神戸)、清水梨紗選手(ベレーザ)、柴田華絵選手(浦和)、菅澤優衣香選手(浦和)だった。

また、ベストイレブンというか、印象に残った選手・好きな選手を是非紹介して欲しい!といった旨の、おなじみびえぇんるささんの企画も最近始まったようである。興味のある方は、是非参加してみてほしい。

 忘れてはならないことは、サッカーは、個人競技ではないということだ。チームスポーツであり、華がある選手が11人揃ったら最強のチームが出来上がるかといえば、一概にそういうことはいえないだろう。華がある選手が活躍できるのは、誰も気づかないような、何気ないプレーをしている縁の下の力持ちのような影の選手なのかもしれないし、とにかく11人全員が、影響し合い、関係しあっているということは間違いないことだ。ベストイレブンを選ぶという行為は、娯楽としてとても楽しいけれど、一方で、サッカーというスポーツの特質を考えてみた時、結構野暮なことでもあるということは同時に忘れないでいたい。

2.私とWEリーグ

 思えば、WEリーグの開幕が決定した日の翌日あたり、実は私は緊急入院していた。生命の危機を感じるレベルでヤバイ状況だったのだが、facebookに、WEリーグができる旨の記事をシェアしたことだけは覚えている。そのついでのように「実は私、入院しています」みたいなことを書き綴っていたような。入院した理由となる病名は脳梗塞だったのだが、あともう少し遅れていたら、本当に命が危なかったと思うし、死ぬことはなくとも、重い後遺症が残る可能性があったと思う。しかし、私は、医療関係者や家族など多くの方々からの多大な支えの甲斐あり、これ以上ないくらいに順調に回復した。これはきっと当たり前のことではなかったのだと思うけど、ちょっと最近そこらへんの意識が麻痺してしまっている。思い出し、改めて嚙みしめたい。今ここにあるこの命の有難さを。

 入院中は、一進一退みたいに気持ちが続き、前向きになったり後ろ向きになったりしていた。ポジティブな声掛けを沢山してもらって、前向きな気持ちになることもあったが、「社会復帰は無理かもしれない」「埼玉で独り暮らしは無理そうな気がする」「実家暮らしが現実的なのかな」などということは、リアルに頭をかすめていた。

 それがまさか。職場復帰し、以前とほぼ同じ仕事をし、埼玉で独り暮らしを復活させることができるようになった。以前と違うことといえば、サッカーに本格復帰することだけはできていないということか。

 しかし、思わぬ副産物も。そう、このウェブサイト「女子サッカーに耳をすまして」を創刊することを思いつくのだ。こんなことは、きっと病気にならず、サッカー活動に明け暮れていたら、絶対思いつかないし、やらなかったことだろう。

 7月に浦和でスタートした小中学生を対象とした女子サッカーチームの方とお話をしたり、8月には、安藤梢さんにZOOMでインタビューすることができたり、このウェブマガジンはかなり順調なスタートを切ることができた。

 そして9月。いよいよWEリーグ開幕。開幕戦は熊谷で、ちふれとレジーナの試合を観戦した。シーズン前半は、浦和の試合を中心に観ていた。他のチームのことはあまり観ておらず、あまりわかっていなかったが、興味はあった。

 12月からWEリーグは、ウィンターブレイクに入った。その期間の在り方については、発信が少なかったとか、色々批判があったようだが、私は、その期間の間に、「全チーム最低1試合は観戦して、レビューを書いてみたらどうだろう」という衝動にかられた。そして、私は、気づけば観戦計画を立てていた。

 毎試合、ピックアップチームを1チーム決め、そのチームの視点から試合を観ていく、というシンプルなもの。観戦レビューの書き方というのは、色々な方法があると思うが、私は、交代選手含めて全選手の試合でのプレーの中で印象に残ったプレーを描写するという方法をとった。この方法はなかなか大変ではあったのだが、チームの特徴や試合内容を理解するにあたっては、比較的良かったのではないかと思う。試合を1回通しで観ただけで全選手のプレーの描写など書けるわけがなく、試合を観ながら印象に残ったプレーは時間帯を入れながらすべて書き出し、終わってから、気になる箇所は巻き戻してその時間帯のプレーを振り返って見直した。ある選手のある印象に残ったプレーを観たい、という目的で見直すが、見直す過程の中で、他の選手のプレーに気づいたりすることもあり、またそこでメモする。そんなことを繰り返していくうちに、全選手のプレーの描写が終わる。なかなか時間を割く作業だったし、終わった後は結構消耗している。

 しかし、レビューを読んで頂いている方もいるし、楽しみにしていただいている方もいたようなので、やってよかったと思う。ただ漠然と観戦していたら、各チームの特徴とか、きっとつかめないままシーズンを終えてしまっていたと思う。さらっと見て特徴をつかめるほど、私はサッカーの眼が全く肥えていないので、意識的に見て、メモして、振り返って、という地道な作業を繰り返していくしかないのだ。全チーム毎に分類した観戦レビュー集はこちら。

 来シーズンも観戦レビューはやるのか。今シーズンつかんだ各チームの特徴、そして、活性化しまくっている移籍市場、それらをふまえて、来シーズンがどう展開されていくのかというのは非常に興味があるし、来シーズンも観戦レビューは書いていきたいと思う。チームの特徴が多少把握できているので、1試合でピックアップチーム1チームではなく、注目カードを決めて、両チームを同時に観察・描写していくスタイルをとるかもしれない。そうすれば、6試合程度観れば、ひとまず一通り全チーム観ることができる可能性がでてきて、省エネ効果もある(笑)。

 ただ、ファーストシーズンは、11試合以上レビューを書いてきて、レビューの書き手として成長していけたか、と振り返ってみると、あまり手応えがない。せっかくやるのだから、サッカーを深く理解することにつながっていくように意識して、レビューの質も上げていきたいと思う。

 以上、病気になった日の前後でWEリーグができるらしいという話を見聞きしたこと、今の生活が想像できないくらい、わりと重い病気だったこと、病気によってサッカー活動がほぼできなくなったこと、副産物として当サイト「女子サッカーに耳をすまして」を創刊することができたこと、WEリーグウィンターブレイクの時に観戦レビューを書くことを思いついたこと、来シーズンも少し変化を加えて観戦レビューを書いていきたいこと・・・を足早に振り返ってきた。

 改めて、私にとって、女子サッカーってどんな存在なんだろう。WEリーグってどんな存在なんだろう。「女子サッカーに耳をすまして」を私はこれからどうしていきたいのだろう。そういう根源的な問いかけも、時々、忘れないようにして、しっかりと気持ちの入ったサイト運営をしていきたいと思っている。

 ちなみに、この「女子サッカーに耳をすまして」のサイトの趣旨は、あくまで「草の根の女子サッカーの話題をお届けする」ことにある。WEリーグは、女子サッカーに興味をもってもらう取っ掛かりとしては最高の存在なので、今シーズンはWEリーグ関連の記事が非常に多くなってしまったが。今後は、もう少し草の根の女子サッカーの話題にフォーカスを当て、深掘りしていき、草の根からトップリーグまで、リスペクト溢れる地続きの素晴らしい女子サッカーの場づくりにつながっていくように、貢献していきたいと思っている。

3.耳すまSNS

 耳すまでは、このnoteの他に、Facebook、Twitter、Instagramでかなり積極的に情報発信した。noteだけだと認知度を上げていくのは非常に困難で、SNSをフル活用したことは、認知度を上げるにあたって大いに役立ったと思う。Facebookについては以前から個人的に使用していたものを通じて発信していたし、TwitterとInstagramは2021年8月から始めた。すべてのフォロワーさんが必ずしも熱心に耳すまを読んでいるとは限らないが、2022年6月15日現在で、各SNSのフォロワーの数は以下のようになっている。

 note:106人 Twitter:297人 Instagram:322人

※facebookは耳すまを契機に始めたわけではないので、フォロワー数は公表しない。

 あくまでメインサイトはこのサイト(note)というつもりではあるのだが、TwitterやInstagramの方が反応が良いのも事実である。TwitterやInstagramのフォロワーさんが、それをきっかけにnoteサイトに飛んでいるかといえば、飛んでいないケースの方がきっと多いだろう。

 SNSを通じて、様々なWEリーグチームサポーターの方々と交流の機会をつくることもあった。他の方の話を聴くことは、勉強になることも非常に多かったし、女子サッカーの話題を通じて、人と人がリスペクトしあえる関係性を築いていくことにつながっていくのであれば、これからもぼちぼちと開催していきたいと思っている。

4.サイトで「リスペクト」「尊重」を強調するのはなぜなのか

ここで、このサイトのコンセプトをあたらめて確認してみる。

女子サッカーに関わってきた・関わっている・これから関わる、すべての人に敬意を表し、「ひとを尊重すること」が循環し広がっていくことを願い、様々な角度から語り合い、語り継ぐことを通して、女子サッカー環境を少しでも豊かにしていくことに寄与するための季刊ウェブマガジン。

 私は、サッカーを通じて、自信や希望を得ることができた経験もある一方で、サッカーを通じて「自分を尊重されない」という経験も、実は多々してきた。サッカーは、お互いをリスペクトしあう気持ちが無いと意味がない、と思っている。お互いをリスペクトしていない人同士がやるサッカーは、サッカーではない、ただの球蹴りだと思っているし、一体何のために時間を割いてサッカーをしているのか?とバカみたいな気分になる。しかし、そんなただの球蹴り、になってしまっている状況を、私は沢山経験してきた。

 だからこそ、口うるさく、「リスペクト」「尊重」という言葉をことあるごとに発信していくし、これからもしていく。「サッカーはリスペクトが大事である」という次元にとどまらず、サッカー・女子サッカーを通じて、「リスペクト」「尊重すること」の素晴らしさを、様々な形で、社会に向けて発信していくような、女子サッカー界で完結するのではなく、女子サッカーをスタート地点として、リスペクトあふれる社会形成への足掛かりにしていくことができたら本望である。具体性に欠ける夢なのかもしれないが、動きながら、もっともっと具体的な理想の形は探っていきたい。

 WEリーグからは、サッカーそのものからはもちろんのこと、WE ACTION DAYなどの社会活動事業にも注目し、「リスペクト」の観点から深く学び続けていきたい。

5.最後に

 この記事を書いた意味はなんだったんだろう。WEリーグファーストシーズンを見守り続けた約1年間。サッカーの試合を観るには、最低90分は必要なので、結構な時間を自分の人生で割いたことになる。最近の若者は倍速でコンテンツを消費するような傾向があるらしいが、アラフォーの私は、ひとつひとつ、1試合1試合、しっかり通しで観ていきたいし、なんなら見直しもしていきたい・してきた。倍速で観る人が多いような時代だからこそ、しっかり1試合サッカーを丁寧に観ることでしか得られない価値のようなものも発信していきたいとも感じる。耳すまが本格始動して、最初の記事に、浦和で発足した女子小中学生チームの女性コーチの話題があるのだが、その中でおっしゃられていた、「サッカーは一人ではやるものじゃない、切り抜きではない、人生の一部だ」という言葉は今でも心に残っていて、その意味を全て理解できているわけではないかもしれないけど、リスペクトと通じる部分もあるような気がして、この言葉の意味はこれからも深く理解していきたいなと思っている。

その記事はこちら↓

 とにもかくにも、WEリーグファーストシーズンは終わった。もう少ししたら、来シーズンの日程も発表されたりするんだろう。シンプルに、心待ちにしたいと思うと同時に、これからの未来に向けて、色々と準備したいなと思う。自分なりに。特に、元女子サッカー競技者として、「どうしたら現役女子サッカー競技者や元女子サッカー競技者が女子サッカーやWEリーグに興味をもつようになるのか」というテーマは意識して取り組んでいきたいと思っている。どことなく競技者の反応が薄いような気がするので。

 すべての根底に、リスペクトがあるかどうか、そこが大事だ。WEリーグを批判するのも、応援するのも、その根底にリスペクトがあるかないか、そこが重要だ。表面的な現象に意識をもっていかれることなく、その根底にあるものをしっかりと見据えて、自分の中にもしっかりと感じながら、来シーズンもWEリーグを応援していきたいと思う。

 


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