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【椎葉ラボプロジェクトオーナー紹介】ローカルビジネスで、地方を夢が実現する場所に:下竹重則さん

椎葉村で新たなローカルビジネスに取り組むチャレンジャーを応援する『チャレンジ・応援!椎葉ラボ』では、椎葉村をフィールドに自分でプロジェクトを立ち上げて楽しみながら活動する村内外の方を『プロジェクトオーナー』としてサポートしています。

今回の記事では、令和5年度のプロジェクトオーナーである下竹重則さんの取り組みを紹介します。


プロフィール

名前:下竹 重則(しもたけ しげのり)
出身地:鹿児島県枕崎市
居住地:鹿児島県枕崎市
プロジェクト:サステナブルクラフトビール

下竹重則さんは、鹿児島県枕崎市の出身。幼い頃は実家の農作業を手伝い、学生時代はテニスやサッカーといったスポーツに熱中しました。20歳で難病を患い、なんとか一命を取り留めたことで、自分が生かされた意味について深く考えるようになりました。

社会に何を返せるのか考えた結果、地元での起業を決意。起業当初の事務所は奥さんの実家である自転車屋さんの倉庫だったそうで、ディズニーやgoogleといった名だたる企業がガレージから始まったことを彷彿とさせます。2011年に、商号を現在の社名である『株式会社ディ・シィ・ティ』に変更しました。

創業当時の事務所。会社ウェブサイトより引用


これまでに、インターネット回線の設置サポートやSoftBankショップの運営、ドローンスクール、コワーキングスペース、ふるさと納税、自然体験プログラムの運営など多岐に渡る事業を展開。活動に合わせて組織も増えていき、現在は『DCTグループ』として5社の経営に携わっています。


そもそも、なぜ枕崎の企業が今回は椎葉村での事業にチャレンジするのでしょうか?

きっかけは、下竹さんの会社が椎葉村のふるさと納税の運営業務を受託したことです。椎葉村に会社の支店を設置し、地域の雇用を生み出しながら、ふるさと納税の窓口として業務を行ってきました。

ふるさと納税返礼品の出店者である椎葉村の様々な事業者と関わるなかで、「椎葉村でも、もっと何かチャレンジをして、地域に貢献したくなりました」という下竹さん。そんなときに椎葉ラボの募集を目にし、今回のプロジェクトで応募をしました。

世界に一つだけの自ビールを!

すでに事業経験豊富な下竹さんですが、気持ちは常にチャレンジャー。今回の椎葉ラボでは『サステナブルクラフトビール』と題して、世界に一つだけの「自」ビールづくりに取り組みました。地域や住民の「自」、つまり個性を商品として表現し、それをビジネスにつなげることがねらいです。

下竹さんのプレゼン資料より


では、なぜ今回のプロジェクトでクラフトビールに注目したのか?

まず、ビールの主な原料はモルト(麦芽)・ホップ・水・酵母の4つだけです。これらの組み合わせや醸造方法によって、ピルスナー、ペールエール、IPA、黒ビールといった様々な種類のビールを作ることができます。

くわえてクラフトビールの魅力の1つは、副原料によって個性的な風味を生み出せることです。「栗や梨、ハーブなど、それぞれの地域ならではの副原料で色んなフレーバーのクラフトビールが作られています」と下竹さん。

椎葉村の民家で庭先果樹としてよく見られる柚子が収穫されずに余っていたことから、今回のクラフトビールでは柚子を活用することにしました。

地域で眠っている資源を使ってビールをつくることで、地域資源と経済の循環を生み出し、サステナブルな社会に貢献したいという思いが込められています。

下竹さんのプレゼン資料より


令和5年度の取り組み

とはいえ、椎葉でのクラフトビールづくりがうまくいくかどうかは誰にも分かりません。令和5年度の取り組みとして、他地域のクラフトビール工場に製造を委託して、まず試作品の製造が行われました。

下竹さんのプレゼン資料より、工場の様子
試作品ならではのシンプルなラベル


椎葉村の民家で香り高い柚子を収穫し、クラフトビール工場に発送。試作品として200本の缶ビールをつくりました。ビールの種類は、クラフトビールに馴染みのない方でも飲みやすい『ウィートエール』を選びました。

下竹さんのプレゼン資料より


試作品は、令和6年3月3日に行われた椎葉ラボの活動報告会で来場者へと配布。缶ビールにはQRコードを貼り付け、リンク先のフォームから味の感想を送ってもらう形をとりました。報告会の様子は次のリンクからどうぞ。


夢を叶えるために、ビジネスに取り組む

今回のプロジェクトでは、椎葉村の柚子を使ったクラフトビールの試作品づくりを行いました。試作品への反応をもとに味や価格といった商品化の詳細を検討し、ゆくゆくは椎葉での醸造所立ち上げを目論んでいます。
また、柚子だけでなく主原料であるホップの栽培も椎葉村でできないかと構想しています。国内だと岩手県遠野市などの寒冷地で大手ビールメーカーと提携したホップ栽培が行われており、九州の中では寒冷地である椎葉村でもホップ栽培を試験的に行った農家の方がいます。

集落にホップの苗を配布し、地域住民がそれぞれホップを栽培・収穫。収穫したホップを集めて村内でビールを醸造し、「自」ビールを手にみんなで乾杯!というのが将来的なビジョンです。

下竹さんのプレゼン資料より


以上、下竹さんのプロジェクトについて紹介しました。地域の素材を使ってビールをつくり、みんなで楽しい時間を共有する。地方だからこそできる、とても贅沢でワクワクする取り組みですね。

下竹さんが立ち上げた会社の社名である『DCT』は、「Dreams Come True」の略です。そこには、事業を通じて人の夢を叶えたい、みんなの夢を実現する会社でありたい、という想いが込められています。

地域だからこそ、ビジネスだからこそできる夢の実現を目指して、下竹さんの挑戦は続きます。


文/内村光希



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