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新版K式ってなんだ?②

新版K式発達検査を含めて発達検査・知能検査は数多くあるものの、こういった検査をどのように活用していくのか話をしていきます。
検査を実施する目的としては(ⅰ)保護者さんからの視点(ⅱ)療育を実施する側からの視点の2パターンあり、それぞれに対して解説をしていきます。
(ⅰ)保護者さんの視点
①子どもたちの現在の発達の状況を把握する
 1歳半検診・3歳児健診・就学前検診とそれぞれの健診の中で「言葉の遅れ」「発達の遅れ」を指摘されることによって療育施設を通われるケースを多くみてきました。(特に言葉の遅れでは「3歳児健診」での指摘が多いです)療育施設といった障害福祉サービスを利用する際に、発達検査を受けることが多いです。そこで検査を行った結果、健診での大まかな見立てに対してより詳細な発達の状況を把握することができます。つまり、子どもさんの発達が何歳レベルで現在の年齢(生活年齢)に比べてどこまで差があるのかがわかるようになります。
 ただ、ここで誤解してはいけないのは、その結果があくまでも”行く機会がない場所“において”あまり知らない人(検査者)“によって”いつもとは違う遊び“をした結果の検査結果となるので、人見知りや場所見知りのある子においては”本来の姿“を完全に見せていないということがあります(もちろん、検査者もプロの心理士などであるので検査場面とされ以外の場面での差が出ないように努力されていますが)
②療育の効果を見ることができる
 実際に療育施設に通われて、療育を受けることによって効果を実感されている方は多くいられると思います。検査においては、その結果が発達指数もしくは発達年齢によって数字として出るので療育による結果をより実感できると考えられます。もちろん、療育施設に通われて思うような結果がみられず、検査結果としても「発達指数が去年よりも改善していない」といったことも考えられます。
 そういった場合でも、3つの領域別(運動・認知・言語)で見てみると以前に比べると改善しているケースもあります。全体として改善していないから、療育の意味がないというわけではなく、療育内容を改善してみると結果としてよくなるきっかけにもなります。

(ⅱ)療育を実施する側からの視点
①子どもさんの理解につながる
 療育施設において、子どもの理解には実際に接して信頼関係を構築する中で理解していくことと保護者さんとの初回面談において聞き取りを行うことによって子どもさんの全体像を把握することができます。もちろん、保護者さんの聞き取りによって得られる情報(既往歴・現病歴・発達歴・家族歴などなど)は非常に重要な情報であり、子どもさんとの関わりの中で得られる情報も保護者さんからの情報と照らし合わせつつ理解するのが大切になってきます。
 こういった検査類からの検査結果も客観的な数値として出るために重要な指標となります。子どもさんがどういった部分で定型発達と差があるのか、苦手な部分はどこなのかを把握し療育のメニューを作成するのに参考にしていきます。
②現在行っている療育目標の見直し
 療育施設においては検査結果を見たうえで、療育内容が正しかったのか・改善が必要なのか、改善を行うのであればどういった点を改善していけばいいのかなど現在行っている療育を見直していくきっかけにもなります。
 視覚認知課題を行っていたが、そういった部分よりも聴覚認知課題の方が重要であると考えたり、必要に応じて療育内容を変えていきます。
 また保護者さんからの要望が現在の発達水準に対して高すぎる内容であるケースも考えられます。例えば、「会話ができるようになってほしい」と言われた際に、現在の水準が“1語文の発話”レベルであれば、①動作語の習得→②2語文の習得→③簡単なカテゴリー分類といったように一気に会話の訓練をする(ふつうは行わないですが、、、)のではなく、その子どもさんの発達水準に合わせて支援課題を設定し、徐々に課題を難しくしていくようにしていきます。このように、保護者さんからの要望が高い場合には客観的な数値に基づいて“どのような療育を現在行うべきか”説明するのに必要になってきます。

まとめ
・発達検査・知能検査は客観的な数値として出てくるが、それには一喜一憂しないようにする
・検査結果だけでは子どもさんの全体像を把握できないが重要な要素である
・検査結果は療育内容を見直すきっかけとなる
内容としては、一般的な内容ですが発達検査を行うことは、その子どもさんの認知発達の程度などを把握するのに重要な指標になると私は思います。

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