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ことばが遅れる原因とは?

こんばんは

小児専門で言語療法を行なっている、言語聴覚士の見巳之助です。

今回は、ことばが遅れる原因としてどう言ったものがあるのか紐解いていきます。

私自身の臨床経験で出会ってきた方々を分類すると以下の様になります。

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1.目に見える疾患によるもの
難聴や口唇口蓋裂あるいは、染色体異常によって言語発達遅滞が引き起こされます。これは、知的な問題を除外したものの中で聞こえにくいことによって言葉が理解できないあるいは口の中の器官(舌や口唇)が上手に動かすことが出来ず言いたい事が言えないことによって言葉が遅れてしまうことが考えられます。

(*1)染色体異常とは、通常の染色体では2対の染色体が42本ある所にある染色体が3本になってしまう(トリソミー)ことや1本のみ(モノソミー)になってしまうことで口唇口蓋裂や知的障害、その他様々な疾患を引き起こしてしまいます。特にダウン症では、口唇口蓋裂や知的障害を伴う事が多く、言葉の遅れや発語の不明瞭さを伴う事が多くあります。また、舌癖と言って食べる時に丸飲みしたり上顎と舌で押しつぶすような食べ方をする事で上手に舌や唇を使えず、発語が不明瞭になってしまうこともあります。

2.知的な障害によるもの
知的障害を定義することは難しいが、“ その発達段階において達成されるべき課題を行う事が難しい”という事が言えます。そもそも言語発達は全体的な発達が促された上で発語(初語)に結び付かないと私は考えます。(ちなみに全体的な発達とは様々な発達検査にあるように①粗大運動②巧緻性運動③社会性④言語に分けられます)その中で知的障害とは、言葉で相手が何を言っているのか分からない、あるいは言語を使わないもので視覚的な弁別が出来ない(形や大きさ、色が分からない)などがあります。上記の部分が分からないと言葉での理解が難しいと考えます。
具体的に何を見ると良いかというと、、、、
①階段の昇り降りができる②トランポリンでジャンプができる③ビー玉を持って容れ物の中に入れられる④指導者が見る方向を一緒に見られる⑤指差しによる要求がある(クレーンでも良い)⑥人に興味があり人に伝えたい、やり取りしたいと思う意欲がある⑦視覚弁別がある(形、大きさ、色による区別ができる)⑧言語指示が理解できる(聴覚的な理解がある)これらを見てみると良いと思います。

3.社会性の障害によるもの
ここで言う社会性とは、他者との関わり方であり言葉の発達に不可欠なものであります。言い換えると、人と人との関わりの中には共通する道具(ここでは言葉)があり、それを使う事によって自分の意思や感情を伝える事が出来ます。そのことで、生活の中で様々な問題に直面した際に他者と言葉を介して助けを求めたりすることが出来、そして問題を解決することができます。ですが、他者への興味が無いあるいは様々な思いを伝えたいという気持ちが湧き上がらないと、そもそも言葉を使う必要がないため、言葉が出てこないと考えられます。(なぜ他者への興味が無い、伝えたいという気持ちが湧き上がらないかという事は複雑な要因が絡むためここでは割愛します。)

(*2)広汎性発達障害(PDD)
広汎性発達障害は自閉症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などが含まれています。これらは社会性の問題である自閉度と知的障害の度合いにより分類することが出来ます。なので、同じ自閉症でも知的水準が高いアスペルガーやほとんど発語が見られない重度の自閉症があるなど様々な障害の姿が見えます。その為、それぞれの困難さに合った療育をしていかなければならないと私は考えます。

4.環境によるもの
これまで述べてきた①~③に含まれないものがあります。原因としては、虐待による精神的なものもありますが、意外と多いのが言語刺激が少ないために言葉が遅れると言った事があります。具体的には養育者を含めて外部からの言語刺激が少ない(話し掛けられる事が少ない)ことや外遊びと言った外部からの感覚刺激が少ない為に必要な経験が得られず結果的に言葉の遅れが見られる事があります。

大まかな分類になりますが、この様なカテゴリー分けが出来ると思います。

では、今回はこれまでですので次回もお楽しみにしてください!

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