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同窓会の案内状

同窓会の出欠を、悩まず決められる人生でありたかったーー

大学のゼミのOB会の知らせが届いていた。昼休み、パスタを食べながら、そのメールをくりかえし眺める。

自分の人生にはそれなりに満足しているつもりだった。ひとりでも十分たのしめる趣味があって、離れて暮らしてはいるけど家族も元気で、仕事も特段楽しいわけでもないが、ちゃんと休みは取れるし、そこそこ順調だ。べつにわたしがひとりで暮らす分には、全然それなりにしあわせなのだ。

それなのに、こういうOB会だとか、同窓会だとか、久しぶりの友達に会うとか、そうなったら身構えてしまう。

いい歳して、結婚も出産もしていない
かといって、バリバリ働いているわけでもない
それなりにしあわせだったはずのわたしが、急に負い目を感じはじめる。

キラキラしていた学生時代からしたら、今のわたしはさみしいものだ。同級生たちはみんな次のステージに行ってるのだろうな。同級生どころか、後輩たちにもとっくに追い抜かされてるんだろうな。わたしの人生、これで正解だったのかな…

そんなふうに思い悩むくらいなら、すぐに断ってしまえばいいものの、久々に普段と違う人と会って話したい、だとか、懐かしい人に会いたい、だとか、そういう気持ちもあるのだ。

わたしの人生がもっと充実していたなら、この出欠をすぐに決められたのだろう。まあまだ締切までは十分時間がある。メールを閉じて、パスタに集中した。

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