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〜独身偽装者との恋愛〜私の復讐実録。#③証拠確保

「次はいつ会えるかな?」

彼が既婚者だと知って自分の世界ががらりと変わった今、何も知らない彼から届くいつものLINE。

弁護士へ相談して慰謝料請求をすると決めた私があと自力でやるべきことは、
彼が私と「結婚前提交際をしている」と
分かる明確な証拠を手に入れる

ことでした。

つまり 音声の録音 です。

純粋な気持ちで大好きな彼と会いたい、いっぱい話したい。当たり前の感情です、つい先日まで心許せる「自分の彼氏」だった人です。
ですが、既にそのような感情を持つ事ですら許されない関係性だということを頭に置き、証拠確保のためだけに仕事終わりに彼と会う約束をしました。

・絶対に食事だけで帰る
・絶対に家に入れない
・絶対に肉体関係をもたない

普段平日は彼が19時くらいに仕事を終わらせ私の家にくるというパターンが多かったため、この3つをクリアして、うまく彼の証言を録音できるのか?正直とても心配でした。


そして当日、彼から「終わるのが遅くなりそうだから会えないかもしれない」と連絡が。

しかし私はこのチャンスを逃せばもう彼と会って録画をする気力もタイミングも残っていないかもしれない、なんとかしても今日会いたいと思い「ご飯だけでも行こうよ!🍚」と誘いました。

そしたら彼から「21時ごろに〇〇でご飯だけ食べよう!」と返信。私の最寄りの飲食店まで来てくれることになりました。

待ち合わせ場所の先に見つけた彼。
既婚者と分かりながら彼と初めて会ったこの時、
すごく複雑でした。
この人3人の子の父親なんだ、と。
でも久々に会っても変わらずに私の好きな彼だと
何故か安心感を抱いてしまっていました。

彼は私に既婚者だとバレていることは気付いていません。いつも通り、仕事に疲れた顔はしていながらも「疲れたからこそ少しでも会いたかった」と言ってくれる、優しい穏やかな彼でした。

席に着くと同時に私はiPhoneのボイスメモ機能をONにし、テーブルの上に裏向けて置きました。自分のすぐ横に、不自然にならないように。

そして私の尋問により欲しい証拠は全て確保。
結婚の話は日頃から軽く二人でしていたので、ここで改めて突然その話を振られたからと言って不審がられる様子は全くありませんでした。

文字起こしした録音の一部がこちらです↓

👩🏻‍🦰私に嘘ついたことある?
👨🏻んーほんまは会いたいのに「会いたくない」って
 強がって言ってみたとかならあるかなぁ〜(笑)
👩🏻‍🦰そういうのは今聞いてない、怒るレベルの嘘
👨🏻それはないと思う。なんで?mikanちゃんはある?
👩🏻‍🦰ない。嘘つくとか騙すとかあり得へん
👨🏻そうやな、俺、嘘ついたら顔に出ると思うし、mikanちゃんが
 嘘ついてても分からんと思うわー(嘘つくの上手そうという意味)
👩🏻‍🦰ふーん。浮気してたらどうしよう〜
👨🏻それはないから大丈夫
👩🏻‍🦰(笑)結婚してたらどうしよう〜
👨🏻それはないから大丈夫(笑)
👩🏻‍🦰(結婚)いつ頃って思ってんの?
👨🏻mikanちゃんの希望に沿う形で
👩🏻‍🦰私29やで今年
👨🏻早いね(笑)
👩🏻‍🦰早いねじゃない(笑)どう思いますか?今後の展望は?
👨🏻来る○月までにでしょうね
 次の(私の)誕生日くらいまでにってことでしょ?
 もちろん分かってる、時間がそんなにないことも。
👩🏻‍🦰ちゃんと言葉にしていて欲しい
👨🏻今年中には結婚したいよね
 この流れ的にどうやったらできるかなと言うところを考えたい
 言うだけ言って実行せぇへんかったらあかんからね

こいつまじか、
こんなまっすぐな顔で
平気で嘘をついていたんだね。


その時の私は笑顔でうんうんと頷いていました。でも不思議と感情が荒ぶったり、それを聞いて我慢ができず彼にお前既婚者だろ!と怒りをぶつけたくなる感情はありませんでした。
なぜ取り乱すこともなくこんなに冷静でいられたのか、自分でも正直不思議でした。


2時間くらいたくさん、たわいもない話をした。

でももうこれが最後なんだろうなと思いました。

だからこそひとつひとつの会話のキャッチボールを大切に、意識して話したつもりでした。
こんなに大好きだった彼と過ごすのも一緒に話すのも笑い合うのも、
全部全部今日で終わらせないといけない。

彼と会って淡々と録音をしている自分も嫌で、
既婚者だという事実が嘘であって欲しい。
何かの間違いであって欲しい。

何度も何度もそう思いました。

「少しだけでも会いたかったから」といって、私の顔を見にきてくれただけの彼を騙してしまっている状況の今の自分に嫌気がさしました。

今まで何年も嘘を吐かれていたのは
私の方なのに。


美味しいご飯をご馳走してもらって、
店を出てからは手を繋がれることも避けるように、ある程度距離をとりながら歩き、私の家に来ることもなく駅の近くで解散。

帰り際に、こう言われました。

「来週はもうちょっと
ゆっくり会えたらいいね。」

これを言われた時、分かっていたんですが、
辛くて辛くて仕方ありませんでした。
彼と出会って3年、彼は簡単にこう言いましたが次会うことなんてもうないんだよ、
許されないことなんだよ
と思いながら、

「そうだね、また今度ね!」

と私は笑顔でハイタッチをして別れました。

バイバイをしたあとは
信号待ちで携帯を触る彼の背中を振り返って、
気付かれないようにめちゃくちゃ泣きました。
きっと奥さんに連絡をしているのかもしれない。
そしてそのまま泣きながら、少し遠回りしながら
ゆっくり家まで歩いて帰りました。

何も知らない彼からはその後、
「無事に家に着いた?来週はいつ会える?」
連絡がきました。

その時に何かを感じ取られないように、
逃げられないように、
「来週は忙しくて時間が読めないから、
タイミングが合えばまた会えたらいいな!」

と送りました。

これで、大好きだった彼と私の関係は
あっけなく終わりました。終わらせました。


家に帰ってすぐ録音ができているかどうか聞き返そうと思いましたが、もう会ってはいけない大好きな彼との会話を自分で聞くことが辛くて勇気が出ませんでした。

「彼との最後の思い出」としてずっと取っておきたくなる。でもこれは証拠としての録音。
聞き返すと、彼にもう一度会いたくて仕方なくなることなんて自分で分かっていました。

彼が私に何気なく言う「会いたかった」「髪色変わった?」「どんなmikanちゃんもかわいい」。
彼の愛情を感じるような言葉ばかりを、繰り返し再生してしまったりもしました。

まだ嫌いになんてなれるわけない、むしろまだ大好きのままの彼の声をどうしても聞きたい。これが長い夢だったらどれだけいいか。
録音や写真や動画でしかもう会えないんだ会ってはいけないんだと思うと、言葉に言い表せないくらい辛かったし、今思い出しても胸が苦しくなります。

でも私は本当によく頑張った、
一切間違ってない、やり切ったよと、
自分で自分を褒めました。


さて、この時点で彼にはまだ実際に
別れを告げた訳ではありません。

#②で依頼を決めた弁護士さんのやり方通り、既婚者だという戸籍の証拠をきちんと取った後に通知書にて別れを告げようと決めていたからです。

調査したことによって万が一、億が一、既婚者ではなかったことが判明した時、このまま付き合い続けていられるようにと、当時は無駄な期待も心のどこかでしていたんだと思います。
また既婚者だと判明した場合、過去の出来事としての内容証明ではなく、リアルタイムで交際していたんだと分かる内容を記載することで周囲にバレた時も最大のダメージになるだろうという復讐心もありました。

ほぼゼロに近い可能性に期待しつつ、
別れを告げないまま、交際中の彼にバレないように弁護士に依頼するということはとても難しい状況で、

・必要最低限の連絡はとるが、なるべく返さない
・相手からの「会いたい」や「好き」に同調しない
・なにかと理由をつけて会わないようにする
・不審がられて家に来られないようにする

必要がありました。
(ただでさえダメージを受けている私に
次から次へと降りかかるミッション)

証拠確保のために最後に会ったこの日から、

弁護士に依頼→戸籍調査→正式に彼の自宅に内容証明が届くまでの約1ヶ月、
突然連絡のペースも遅くなり、なぜか会うことも拒むようになった私に不信感を覚えた彼は、
ついに本性を現し、焦りと不安からか私に攻撃的な連絡をしてくるようになったのです…!


次回noteに続く

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