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どこかで拾った感情、または伏線

小さい頃、団地に住んでいた。
今思えば子どもが多くて、賑やかで、一緒に遊ぶ友達には困らないような場所だった。
でも私はうまく友達に馴染めなかった。
お向かいのもみじちゃんは、私より何でもできるように見えたし、実は心の中で私のことを見下してるんじゃないかって思っていた。

小さい頃、と言っても0歳から4歳。
幼稚園の年中さんに上がる年には引っ越したから、それ以前の話だ。
そんな頃から嫉妬や比較の感情が体内に渦巻いていたのだと思うとつくづく可愛げのない子どもだったと思う。

同じ団地の違う棟に兄弟が住んでいた。
弟は私と同い年。お兄ちゃんは私の2つか4つくらい上だったはずだ。
お兄ちゃんのことが好きだった。
わずか4歳かそこらなのに、弟よりもお兄ちゃんともっと仲良くなりたかった。

そんな私の感情を察してか知らないけれど、お兄ちゃんはある時おうちに入れてくれた。台所の下にチョコが隠してあるからって言ったと思う。
流しの下に本当にチョコはあった。
大人に内緒だった。
2人でチョコを食べた。こっそり。
こっちだよって手を引いてくれたお兄ちゃん。

この体験が25年以上私の恋愛原体験になってしまった。
いつまでも幼少期のことを引きずってもしょうがないのに。
そのお兄ちゃんがほしいわけではないけれど、ずっと年上しか好きになれないし、年上の方が楽。

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