真っ赤な薔薇を一輪、あなたのために ~フジ子さんの話5~
フジ子さん、あなたと最後に逢ったのは、一年前の今日だったね。
あなたはもうなにも食べられず、水すら飲むのもしんどいと聞いていた私は、病室になにを持って行くか悩んだ末、小さなポットに挿しておくとオイルを吸い込んで、徐々に花が咲いたようにひらくという、フラワーディフューザーなるものを選んだ。
あれがひらいたところ、見てくれたのかな。フジ子さん。
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まだ彼女が自分の家で暮らしていて少しは元気だった頃。そこを訪ねるのが仕事だった私は、本当はよろしくないのであろうちょ