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ひとびと

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わたしの世界を彩る、これまでに出逢えたたくさんの人たち。 ふとした記憶がよみがえる。いつかの、だれかの、小さなおはなし。
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フジ子さんというひと ~フジ子さんの話1~

出逢いは、晩冬だった。 その頃、障害を持つ方に同行して外出のお手伝いをするという仕事をし…

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三宮そごうでオッサンと殴り合いをした19歳の夏

事件は突然に短気は損気、とはよく言ったもので。 衝撃の事件が数々起こるわたしの人生でも群…

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じいちゃんが死んでオトンの元嫁と対面した13歳の夏

わたしには、会ったことのないきょうだいが、3人いる。 ーーーーー じいちゃんが、死んだっ…

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ふうわり、桜の香り ~フジ子さんの話7~

夜道をひとり、歩いていた。 あてもなく、てくてくと。 ふと目の前に現れた、「桜坂」と書か…

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いろんなものを、ちょっとずつ ~フジ子さんの話6~

朝起きたら見慣れないアドレスからメールが届いていた。 なんだろう? 開いてみると、とっく…

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しょっぱい西瓜のうすみどり ~フジ子さんの話3~

今年も西瓜の季節がそろそろはじまる。 八百屋さんの店先で、スーパーの特売コーナーで、ドラ…

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真っ赤な薔薇を一輪、あなたのために ~フジ子さんの話5~

フジ子さん、あなたと最後に逢ったのは、一年前の今日だったね。 あなたはもうなにも食べられず、水すら飲むのもしんどいと聞いていた私は、病室になにを持って行くか悩んだ末、小さなポットに挿しておくとオイルを吸い込んで、徐々に花が咲いたようにひらくという、フラワーディフューザーなるものを選んだ。 あれがひらいたところ、見てくれたのかな。フジ子さん。 ーーーーー まだ彼女が自分の家で暮らしていて少しは元気だった頃。そこを訪ねるのが仕事だった私は、本当はよろしくないのであろうちょ

さんかくおやまのおいなりさん ~フジ子さんの話4~

いなり寿司といえば、三角だと思い込んでいた。関東に住むまでは。 関西人はおいなりさんが好…

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雨女の呪い

昨日、久しぶりに旧友に会って、一緒に昼ご飯を食べた。 元来私は早口で、そのまま話してしま…

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チャコさんとチョコさん

わたしには母がふたり、いる。 産みの母がチャコさん、義理の母がチョコさんだ。 名前がたっ…

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フジ子さんのオムライス ~フジ子さんの話2~

「ママ!明日はお弁当だよ!」 娘の声に、学校行事でお弁当がいることを失念していた私は、冷…

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ヨウジという男

その男とは、いつも外で会っていた。 数ヶ月に一度、私へのプレゼントを持ってやってきて、一…

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