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食べ物のルーツ

もうすぐラマダンが始まる時期だ。
この時期になるといつもGriwechというアラブのお菓子を思い出す。
北アフリカで生まれ幼少期を過ごした夫はマグレブ(北アフリカのモロッコ、チュニジア、アルジェリア)の料理もお菓子も大好きだ。
アラブ圏のお菓子の中でもこのGriwechが好きだという。

私はというとアラブ圏のお菓子は正直に言うとあまり好きではない。
揚げてあったり蜂蜜をふんだんに使ってあったり、ナッツ類がこれでもかと入っていたり、食感や味がリッチすぎる甘すぎると感じるから。

その昔、ラマダンがもうすぐという時期に夫と二人で街を歩いているとマグレブ系パティスリーがあった。
のぞいてみるとGriwechがある。
どんな味なのか試して見たくて夫の買ったお菓子の小袋から一つ分けてもらった。
またリッチで濃い味なんだろうなと思いながら齧る。
・・・どこかで食べたことのある味・・・絶対知ってる味・・・
あ!かりんとうだ!!
そう、味が完全にかりんとうと同じなのだった。
思いがけず日本の味が口に広がる。
嬉しくなってもう一つ、二つ食べてしまった。

家に帰ってからなんとなくネットでかりんとうについて検索してみた。
ルーツは8世紀ころに遣唐使によって中国から渡来したという説や、16世紀ごろに中国から来た説、または同じ頃にポルトガルからカステラなどと一緒に南蛮菓子の一つとして伝来したという説など、諸説あるようだ。スペインにもペスティーニョと呼ばれるかりんとうによく似たお菓子があるらしく、特にアンダルシア地方で食べられているお菓子らしい。

これらから考えてみると恐らくアラブ地方のお菓子がイスラム勢力のイベリア半島侵攻時にスペインに伝わったものを、大航海時代にポルトガル・スペインがほかの国に伝えたと考えるのが妥当なように思う。
アンダルシア地方は特にイスラム文化の影響が色濃く残っている地方だし。

16世紀というとポルトガルがマカオに定住を始めた時期と合致しているし、その時期に中国から伝来したという説もマカオからと考えるとポルトガルの影響を受けているという風に考えるのも自然である。

なんとなく口にしたお菓子から、様々な文化は昔から受け継がれ国と国は影響し合い、世界は繋がっているんだなということを考えさせられた。
こういう文化の伝来や歴史について知るのはとても面白い。


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