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「こういうやり方で始めるのもありなんじゃない?」千葉県松戸の電気工事屋が目指す“いい仕事”の連鎖って?

あなたが思い描く“いい仕事”とはどんなものですか?

スキルが身に付く仕事。
地域に根付いた仕事。
今後、需要が増える仕事。
自分の得意を活かせる仕事。

それぞれいろいろな“仕事”が頭に思い浮かぶと思います。

そこで今回ご紹介したいのは、千葉県松戸市で「モノムス(仮)」という場所を作っている電気工事屋さんです。

ベッドタウンの松戸はおもしろいことやお店が少なくて、物足りないと感じていたとか。
松戸で、“いい仕事”の連鎖をうみだす場をつくることで、おもしろい街をつくろうという思いから「モノムス(仮)」という場所を作ることに決めたそうです。

地元で発見した熱い電気工事屋さん

この電気工事屋さんが思い描く“いい仕事”には、個人の幸せを置いてけぼりにしてしまうような経済システムに支配されない、心の奥底から湧き出る喜びや、自然と一体となる感覚を体現したいという思いが込められていました。

そんな思いを持って活動しているのは、松戸市に住み、電気工事屋「デンキノアオキ」を営んでいる青木威明(あおき・たけあき)さん。

青木さんいわく、“いい仕事”がこれからも生み出され続けるためには、資金が少なくとも挑戦できる環境が大事なのだとか。

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まず、その環境をつくろうと青木さんは、元千葉大学寮の二部屋を借りて、リノベーションをしています。この取り組みは完成された場を地域の人に向けて、単に貸すことが目的ではありません。

なにかに取り組んでみたい人、都会の暮らしに違和感を抱いている人など多様な人に主体的に関わってもらい、自分だけでは思い浮かばなかったようなおもしろいことが起こる場を生み出したいと企んでいます。

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リノベーション前の元千葉大学寮の一室


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リノベーション後

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リノベーション後の廊下


今回見学して、「モノムス(仮)」はやってみたいことや、自分の得意分野をいかして関わる人が増えていくことで、息づいていくのではないかと思いました。

わたしも地元の人間として、まずはこの場所を地元に住む人に知ってもらうきっかけにしようと、青木さんに取材をしようと決めました。
そのため、この記事を読んで、「青木さんに会ってみたい。」「モノムス(仮)に行ってみたい」という方が出てきてくれたら嬉しいです。

中学生のときに感じた違和感と使命感

青木さんの現在の活動の背景には、バブル期の高度経済成長期であった中学時代に感じた「なにかがおかしい」という社会に対しての違和感がありました。

というのも青木さんが中学一年生の時、バブルが崩壊したことで、今まで親などの大人が言ってきたことは必ずしも正しいことではないことに気づきました。

また、集会で校長先生が「日本は経済的に混迷するから、みなさんは自分の力で生きられるようになりなさい」と言われたそうです。当時、校長先生の言葉はよくわからなかったものの、新しい生き方を見つけなければという使命を帯びているような気がしたんだとか。

表現する側から、つくる側へ

そんな中学時代から友だちとロックバンドを組み、20代前半までライブ活動をしていたという青木さん。

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写真右下:青木さん。当時21歳頃、オリジナル曲を作り、東京や千葉でライブをしまくっていたそう。

会社員時代には、花火大会の会場付近で、ゲリラ的にダンスミュージックを行ったり、都内の美容院を貸し切ってアートとDJのイベントを仕掛けたり、伊豆の洞窟でライブパーティーをしたり。
学生時代から会社員時代にかけて、さまざまな“場”で表現活動をしたり、“場”を仕掛けてきました。

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花火大会会場付近で、友人らと企画したダンスミュージックイベントの様子

さらに、自身の人生のキーマンである建築家の中西道也さん と墨田区を中心に古民家のリノベーションを10件ほど行いました。
そして、2017年からは「SHA・RE NOVA」というご自身でリノベーションを施したレンタルスペースを運営するなど”場”を作る側としての活動の幅を広げていきました。

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真ん中:青木さん 右:建築家・中西道也さん

松戸で“いい仕事”の連鎖を生む

都内に行きやすい立地にもかかわらず、自然がたくさん残っているところが松戸に住む理由の一つだという青木さん。

情熱や一生懸命作られたものだと感じられる“いい仕事”が連鎖していく未来を目指して、2019年からは、住める状態ではなかった元千葉大学寮をリノベーションし始め、新たな“場”が息づき始めました。

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「“いい仕事”に触れると、とても元気がでます。 自分も“いい仕事”をしようと思います。その連鎖を大事にしています。」

と話してくれた青木さんから、他者の仕事へのリスペクトと、自身の仕事への強いこだわりが見えました。

“いい仕事”を体現している人

今回の取材を通して、中学時代から抱いていた経済社会に対しての違和感や思いが、青木さんの活動の原動力にあると感じました。

そして、社会への意思表明として「こういうやり方で始めるのもありなんじゃない?」と提案し、現在進行形でその姿勢を貫いていることにわたしは惹かれました。

あなたもこれを機に、自分の街で活動する“いい仕事”を体現している人を探してみてはいかがですか?

きっとその活動の背景には原体験や、熱い思いがあるはず!
あなたが普段感じている違和感をなんらかのカタチで解消できる突破口を見つけ出せるかもしれません。

青木威明(あおき・たけあき)
1975年生まれ。千葉県市原市出身。高校卒業後、ミュージシャンを目指し、都内を中心にライブ活動を行う。その後、音楽活動を休止し、電気工事の会社に8年間勤務。2009年に脱サラし、松戸へ移住。墨田区の物件のリノベーションを複数行い、2017年に電気工事屋「デンキノアオキ」を開業。


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