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調理の仕事は、まるで息の仕方が違うみたいだ。

私は2年弱、都内のレストランで働いているのだけれど、2ヶ月前に接客から調理担当に異動した。

「調理未経験だけど、チャンスがあれば調理に移りたい」と面接のときに伝えていたので、やっと…という感じで、うれしいというか、がんばりたいなぁという気持ちだったのだけれども、想像していたよりも今まで使っていた頭や体の動かし方が通用しなくてびっくりした。そして、本当にハード。身体を酷使している…!

営業時間中にオーダー通りに食事を用意しつつ、次の日の食材のカット、茹でたり、蒸したりしながら、カレーの仕込み、細々とした付け合わせや足りないものの準備…。

目の前の野菜を切りながら、揚げ物の上げどきを気にしながら、カレーの玉ねぎが焦げないように気にかけて、新規のオーダーを受けて、片付け作業もやって…と書き出してみるとこんなに入り混ざるように作業していることに驚く。

そりゃ頭使うよなぁと感心しちゃうのだけど、私はまだまだ求められる動きができていなくて、100%でやっているつもりでも、周りから見たら動きが鈍くて、効率悪そうに見えていると思う。

がんばってもがんばっても終わらない、目の前のことにクラクラしてしまう。

と、ここまで大変な部分ばかり書いたのだけれども、調理の仕事は楽しくて、自腹で買った包丁で毎朝野菜をたくさん切る。切れ味がいい包丁ってこんなに切っていていい音がして、気持ちがいいんだって。自分の技術だけじゃなくて、いい道具を使うことで、断然いいものが出来上がる。

そして、黙々とうつむきながら野菜を切っていると、自分の中の大人しさが肯定されるというか、静かな自分を感じられて、あぁこれも私の一部だよなぁと思ったりする。

(でも、そんな気持ちを味わっていると手の動きが遅くなってしまうのですぐに目の前のことに戻ろうとする…笑)

接客の時は、人とのコミュニケーションがほとんどで、一人の世界に籠りながら作業する時間はほぼなかった。

大変ではあるけれど、料理をつくってお金がもらえるんだなぁと思ったりする。

毎朝たくさん野菜に触れて、切って、揚げ物の前に立つ。これが私の仕事中のほとんどを占めている。エプロンをしながら働くなんて、大学生のころの私は全く想像もしていなかった。

私はどこに向かっていくんだろうなぁと思いながら今日も1日が終わった。ふー。

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