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【CASE1.女の薄毛】冬寒いとかの話じゃないぜ(日常編)

うちの父ちゃん、ハゲてるんです。
でね、うちの母ちゃんもね、ハゲてるんっすよ。

まあほんとになんというか、色濃い遺伝子で、つまり、そう、受け継いでしまった。
何を?
ハゲを。


うん、まだ気にするほどじゃない(第1期)

私が気になったのはいつだったか?
中学の時に、ショートカットだった私に「ぷくくく、ハゲてる」と言ってきたいじめっ子(女)がいたが、私には生まれつき円形脱毛みたいなやつがある(まったくどこもかしこも欠損している)ので、おそらく、そのことだと思う。
しかし、そんな多感な10代で、分け目が気になったことがあった。

あれは、祖母の家へ向かう新幹線の中だった。
ご存知のように、新幹線って、楽しいの最初の20分までじゃないですか(偏見)。
当時はスマホもないし、乗り物酔いのひどい私は本も読めない。
(しかも父に連れられると喫煙車両に行かねばならず酔いが本当にえげつなかった。今の子供たちのうらやましいことその1だ)。
なので鏡を見て髪を整えたりして時間稼ぎをしていた。
そのときだ。
なーんか…肌色の分量が多い?と感じたのだ。

そうすると気になってしょうがない。
まずは鏡を上へ上へと限りなく手を伸ばす。
ひいー!なんか肌色?!と焦った私は、顔面蒼白になりながら前後左右の家族をチェック…なんてする必要すらない。
ハゲてるのだ、この人たちは。
ち、アテにならん。
他の人たちを見ないと。

本筋から外れるが、他者を知りたいタイプというのはたくさんいると思うが、私は自己分析すると「他者情報をできるだけ集めて自分がどの位置か」を基本探ろうとすることが多い。
基本的に真ん中に身を置きたいほうだ。
この性格は今もそうで、よくいうと「バランスを取る人」「どんな意見も受け入れられる」と言える。
悪く言うと「突き抜けられない」「芯がない」となる。
昔は特に「相対的真ん中」だった。
自分の意見などを真ん中に「頑張ってもっていく」。
40にもなると「絶対的真ん中」が芯となることを知ってるが。

で、ティーネジャー・みみみくはどうしたか。
トイレに行くふりをしながら、若い女性にターゲットを絞り、くまなく頭皮をチェックしながら車両を結構渡り歩いた。
まあまあ、うん、私くらいならいるいる。
そんな同族探しをしては安心し、気持ちよく祖母の家へ行った。


遊びのつもりがいじめでした(第2期)

ここで、私の髪質を説明しておこう。
これ大事だよね。
今通ってる美容師さん曰く、
・乾燥しやすく、傷みやすい。
・毛量は普通→少なめ
・くせ毛
・地毛は完全真っ黒ではなく、若干茶みがかっている
まあ、遊びにくい髪質だ。

でも、遊んだ。
いじめ首謀者の言葉を借りると「遊びのつもりでした」ってやつだ。
その年齢がきたら悩めばいいじゃん的な感じで、縮毛→パーマ、ときにカラーをひたすら繰り返した。
伸ばしては切り、茶になり黒になり、くりくりになったらさらさらになる。
髪は女の命どころか、今思うと、私は髪で何かを埋めてたような気すらする。
タバコやお酒と髪形やファッションは完全に異なるようでいて、私の中ではなんか一緒の部分が存在している気がする、とりわけ、若さが加わると。
事実、禁煙の成功と染髪をやめたのは、ほぼ同時期だ。
まあ、ここの話はおいおい書くとして。

ブリーチはしなかった。
これは確実にぱさぱさになると、私のなかで警告音が出てたからだ。
でもここまで薄い今の自分を見ると、ブリーチしなくてセーフ!とも思えないので、将来の頭皮を気にする女子たちに「ブリーチやめたほうがいいよ」、とも言えない。
だって、今ハゲてるもん。


撮影はご遠慮ください(第3期・今)

本格的に気になりだしたのは、2人目を出産してからだ。
1人目の産後はすっごい抜けたが、一時的なものだと育児本で学んでいた私はまったく慌てず、そっと帽子に手を伸ばしていた。
しかし2人目は違った。
私はどんどん太っていくとともに、体力が落ち、すっぴんが増え、薄毛が進行した。
なけなしの女性ホルモンが妊娠出産と授乳でなくなったんだろうか。
ワンオペで夫の代わりもしようと男化しすぎたのかもしれない。

よく女の薄毛体験談などで「抜け毛が排水溝に大量に…」とかいうが、今の薄毛ではその記憶はない。
1人目の出産後はその経験をした。
枕にいっぱい抜け毛があったり、髪触っただけでいっぱいハラハラしたり。だが、今の薄毛はそのときと違う。
もう、寝てばっかりという感じなのだ。
作者と一緒で、毛も休息好きなようだ。
そんなに心地よい布団なんですか我が家は?と聞きたくなるくらいだ。
くう、腋毛は何回寝かしつけてもしつこく覚醒するくせに。
それでも、結び目や分け目を変え、ごまかせていた…はずだ。
うん、たぶん。
ごまかしがきかなくなったのはここ5年だと思う。

あるときエレベーターに乗った。
若い女性の方と一緒だった。
するとそのエレベーターが、私がその後最も恐れるあのエレベーターだった。
そう、カメラ付き。
自分が乗ってるのをカメラで見る必要はどこまであるんだろう。
遠隔地で監視してくれてるだけではダメなんだろうか。
あれ、ものすごく上からだから、もう、一目瞭然なんだよ・・・
突きつけられるんだよ、地肌量を。
しかも若い女性はフサフサ。
もう白黒のオセロを見ているようだ。

ちなみに薄毛あるあるかもしれないが、青白めの照明とか女優ライトのトイレが嫌いだ。
お肌をきれいにしようとするライトは、頭皮の地肌もよりきめ細かく映してくれる。
いや、いらんしその気遣い。
オレンジ色照明ラブだ。
すべてを赤っぽく茶っぽく、境界線をなじませてくれる。
髪と地肌の差をぼやーんとさせてくれる。
ただし、眼球とまぶたの差も凹凸によるコントラストもなくすべてが均一的になるが。

第1期のとき、友人がバーコードハゲの初老男性を見て「頭寒そう」とぷくくくしてたが、そのときの友人に言いたい。
頭寒いだけじゃなく、夏の照り返しがえぐいんだぞ。
蒸れないけど汗でキラメく頭皮になるんだぞ。
輝いた頭皮は目立つんだぞ。
と。
そして何より、「髪は女の命。ツヤが大事。アレンジ自在」な広告手法にのせられる手前の段階で躓いてしまう自分に、メンタルがえぐられ、心こそが冷え冷えとする。
改めて、えらいコンプレックスを抱えたもんだと思う。

今、私は相変わらず薄毛だ。
でもカメラ付きエレベーターも怖くはなくなった。
白系のライトは若干どんよりするが、それでも前ほど毎日上からスマホで自撮りして地肌をチェックし一番薄くない毛の配分にスタイリングするほどではなくなった(そんなことしてたんかい)。

次回は、そんな「コンプレックス:薄毛」を克服すべく奮闘した実践編といこう。
チャンネルはそのままで。


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