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瀬戸田インターンシップ2日目

こんにちは!

昨日から瀬戸田にインターンシップに来ています、立教大学観光学部の志賀まみと申します。

このたびInsitu Japanの拠点がある広島県の瀬戸田にてインターンシップをすることになりました。

これは立教大学にて池尾健先生が担当している 「ビジネスコミュニケーション」の授業をきっかけに全国からの学生に募集、選抜を経て実施されています。

なおこのインターンシッププログラムは池尾さんが代表を務める一般社団法人Intellectual Innovations(*下記リンクを参照)の支援により実施されています。


今回は前回に引き続き、9月25日の振り返りを書いていきたいと思います。

昨日に引き続き今日も天気が良く晴れ、朝Soil Setodaから見る海が青々としており真夏を思い出させるようでとても綺麗でした☻

午前中にSoilでnoteを書いた後、昼前にしおまち商店街をぶらぶらと歩きました。歩いている途中、亀井堂というお店のお母さんとお話をしました。

亀井堂のお母さんのお話

<しまなみ海道ができたこと>

しまなみ海道ができたことにより、島の外から人が来てくれやすくなった一方で、逆に島の外に買い物などで島内の人が出ていってしまうという欠点があることを知りました。亀井堂のお母さんが「昔みたいにフェリーだけのときのほうが静かでよかったけどね~」とお話されていたのが印象的でした。
昨日島と島の距離の近さを感じたように、簡単に島間の移動ができてしまうことは、良い意味では地域固有の文化や雰囲気などが外に伝わり、瀬戸田のことを知ってもらえる。しかし一方では地域固有のものが流れて失われてしまう可能性もある。しまなみ海道の功罪について考えさせられたお話でした。

また、しまなみ海道の建設にあたり多くのレモン畑が失われたことも知りました。開発によって得られるものと失うもの。開発は地域の文化を新しく生み出したり継承する一助になるかもしれないけれど一方で失わせてしまう機能ももっている。作り出すのも破壊するのも人間である、ということを改めて感じたお話でした。

<外からやってくる人に対してとても寛容であること>

「外からやってくる人」という表現が適切かどうかはわからないのですが、亀井堂のお母さんは、私たちのように外から来る若者に対して「若い人は自分たちにはない発想や考え方を持っていてよくやってくれてるよ」と仰っていました。またしおまち商店街の方々は特に、「みんなで一緒に何かをやりたい」という考えが強いそうです。

そのように、島の地域の方が寛容に受け入れてくださる環境や雰囲気があることは瀬戸田の大きな魅力の一つであり、新しく島外から来る事業者と地域の人との交わりが生まれるベースとなっているものであると感じました。

<しおまち商店街には空き家が多いこと>

しおまち商店街を歩いていると、緊急事態宣言の影響もありお店のシャッターが閉まっているのが目立ちました。緊急事態宣言関係なくお店の方が高齢で店を閉めていることも多く、また緊急事態宣言期間中、町から補助金がもらえるため補助金をもらって店を閉めたほうが良いという事情があるとも知りました。

最近、若い人が空き家を活用してお店を開く動きが増えてきたことをとても肯定的に捉えていらっしゃいましたが、やはりそれでもまだまだ空き家が目立つしおまち商店街の現状を知りました。

しおまち商店街においては、観光客の利用は多い一方で、地元の方の利用は大型のスーパーやコンビニに集中しているという点が空き家の増加の原因でもあり、結果でもあると感じました。「しおまち商店街の利用を促す」といってもよほどしおまち商店街でしか得られないものがある!というわけでなければ便利なスーパーがある中で、わざわざ車も少し通りにくい・停めにくい商店街の方まで足を運ぶ選択にはならないと思います。
しおまち商店街を地元の人にも利用してもらう」ということは今後インターンの活動の中で解決策を考えていくべき課題であるとも感じました。

また、小林さんと昼食をとる場所を探していたときも、なかなか空いているお店がなく、観光客が「食」を旅の醍醐味とすることが多い中で、お店が開いていないことで満足度が下がってしまい、瀬戸田に対するイメージも低下しかねないという課題にも触れました。しかし、コロナの期間中であってもどうしても観光客がある程度来てしまいます。お店を開けていると別の店や住民からの印象が悪くなるが、一方で開けていないと訪れた人に悪い印象を持たれてしまう、というなんとも判断の難しい状況だと感じました。

亀井堂のお母さんとお話していて最後に「瀬戸田のことを第二の故郷と思うぐらいたくさんみちょったらええわ」(方言の言葉遣いが異なっていたら申し訳ありません。。)という言葉をかけてくださったり、夕方Soilに戻るときも車の中から手を振ってくださったり「いろんな人が言う瀬戸田の『人』の魅力ってこういう温かさ、なんだろうなあ」とここに来て二日目ながら感じました。

亀井堂のお母さん、ありがとうございました☻またお母さんとお話をしに、瀬戸田に行きます。


Azumi Setoda  女将・窪田さんとのお話

昼食後、しおまち商店街の中にあるAzumi Setodaの内覧に同行させていただきました。

<古きよきものを活かすこと>

その中で当時の大黒柱や梁をそのまま残して使われていたところ、堀内邸の、当時のおもてなしの様子が伝わってくるようなお皿や屏風を今も使っているところが印象的でした。

古くて貴重なものを実際にまた使うことはリスクがあって難しいかもしれなけれど、やはり置いておくだけ、飾っておくだけではそれは美術品でしかないと思います。使い道が別であったとしてももう一度使う、誰かが手に取り使うことで息を吹き返すものなのではと感じました。

<プロの仕事はプロに>

プロの仕事はプロに任せる

お話の中で窪田さんが仰っていたことです。これはどんなところにでも当てはまること、重要なことだと思いました。

自分一人で自己流でやっていたら、それは自分は満足するかもしれない。だけどそれはあくまで自分のものさしでしかなくて、使ってもらう人、過ごしてもらう人の、自分の先に相手がいてその人の「いいな」「好きだな」という感情に引っかかってもらわなければいけない。
相手の行動や感情を思い浮かべながら、想像力をフル稼働させながら、どんな方が使うのだろう、どんな風だったら喜んでもらえるだろうということを机の高さやシンクの大きさ、一つ一つデザインや建築など様々なプロの方と考えていく。全部任せる!ということではなくて自分のビジョンのようなものはもちろん必要で、そことプロのアイデアが一緒になってベストなものを作り上げていく。

Azumiでは旅館の食事は基本的に地域のお店を紹介しているそうです。
それも「プロの仕事はプロに任せる」ということ。Azumiは扉を開けたときからお客さんに「非日常」を提供することが役割であり、商店街の中のいち事業者として存在する。食事のときは地域のお店を紹介し、地域の別の事業者にお客さんをつないでいく。
そうしてAzumiから地域のいろんなところに矢印が伸び、地域の中に利益がまわっていく。「非日常」の空間を提供するとともに、「非日常」の空間から地域の「日常」へとお客さんをつないでいくことで、しおまち商店街という「面」の中の一つの「点」としての役割を果たされている、Azumiだけが独立するのではなく瀬戸田という地域をつくっていく一つの事業者としての役割を果たされているのだと感じました。

近年はよく地域の人の日常を非日常と感じる観光客の態度が問題となるケースが多く取り上げられます。いわゆる「オーバーツーリズム」と言われている問題です。観光客の訪問先に対する「非日常」という視点が問題視されている中で、宿泊施設の果たしうる役割とは何だろうか。非日常を提供するAzumi Setodaにとってそれは、お客さんと地域をつなぐこと。訪れる人の非日常として地域の情報を紹介するのではなく、日常の中に観光客が入るという位置づけで地域と観光客をつなぐこと。じゃあそれって具体的にどうすることなのか?ここがまだはっきりしておらずグルグルしています。

宿泊施設だけに限ったことではないと思いますが、それ単体で動くものではありません。少し場所が変わりますが、Soil Setodaでいうと、農家の長畠農園さんだったり支所長の坂本さんだったり、DMOの内藤さんだったりと、グランピングの視察で感じたように、様々な人が一緒になって、それこそプロの仕事をプロに、それぞれのやるべき役割を束ねて、関係性を築き上げた先に結果として、地域の中にその存在が溶け込んでいくものなのだと感じました。

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尾道市瀬戸田支所長 坂本さんとのお話

<『瀬戸田』でひとつの地域 >

窪田さんとお話した後、尾道市瀬戸田支所長の坂本さんとお話する時間を設けていただきました。坂本さんの「瀬戸田愛」を感じるお話でした。

関東の人にはやはり「島」という言葉の方がどんな場所なのかイメージがつきやすく、島が身近でないひとにとっては興味ももちやすい。だけど生口島と高根島で一つの「瀬戸田」という地域だから生口島というより「瀬戸田」という地名を知ってほしい、広めていきたい。

という坂本さんの思いが溢れるほどに伝わってきました。

坂本さんがレモンの生産地表示のお話をされていました。「瀬戸田」産のレモンであっても「瀬戸内」産のレモン、「広島県」産のレモンとまとめられてしまう。実際、帰りに寄った三原駅のコンビ二のお菓子にも私の地元のコンビニにも「瀬戸内産レモン使用!」と書いてあるお菓子はいくつか見られましたが、瀬戸田やそれ以外の地域の具体的な表示は見られませんでした。

メディアでも瀬戸内とまとめられてしまうことが多かったり、「生口島」と表記されていることが多かったりするところを坂本さんは一つ一つ訂正しているそうです。「瀬戸内」や「島」と聞いたら聞きなれた言葉でなんとなくイメージしやすく、ブランドが確立していて、瀬戸内海地域として広範囲では全国的に広まっているかもしれません。

しかし「瀬戸内」という言葉でまとめられている中に多くの地域が埋もれてしまっていること、それを私たちは知らぬまま、表面的なブランドやイメージのみを見て消費してしまっているということに気づきました。

ここで「生口島と高根島で瀬戸田」と言ったけれど、厳密にいうと実は生口島の中でも「瀬戸田」と「因島」という地域があり、因島地域は隣の因島と同じ。尾道市に合併する際、管轄上の問題で因島地域に入ったそうです。生口島=瀬戸田だと私は思っていたので、一つの島の中に二つの島が存在しているようなもので、とても複雑な地域なのだということを知りました。

瀬戸田という地域は地図上は「尾道市の瀬戸田町」という区分だけど、一日目のnoteに書いたことと重複してしまうのですが、最近合併したこともあり「尾道市の地域」というより「瀬戸田町」として独立して存在する印象を受けます。尾道市といえば尾道市街地のイメージが強いと思いますが、瀬戸田町から入るからこそ気づくこともある、と小林さんが仰っていたように、瀬戸田町を起点として見るときと尾道市街地を起点として見る見方はまた違うのだと思います。

「しまなみ海道の中の瀬戸田」「尾道市の中の瀬戸田」「一つの地域としての瀬戸田」それぞれ違った位置づけで見たときにどんな印象の変化があるのか、見てみたいと思ったので、実際に尾道市市街地にも行ってみたいし、しまなみ海道のサイクリングもしてみて、多角的な視点を養いたいです。

<北と南の温度差>

また、上記にあるような行政の管轄上の問題もあると思いますが、島の北側と南側の温度差についても坂本さんは触れていらっしゃいました。この温度差は私も事前リサーチのときから感じていたものでした。

事前リサーチで宿泊施設や飲食店、名所などを調べていた際、出てきた多くは北側の地域に集中していました。また実際2日間だけ過ごしてみて、北側、特に瀬戸田港周辺は盛り上がっており賑やかな印象を受けましたが、地元の人からは「南側は何もないよ」という声をよく聞きました。坂本さんのお話によれば「なんだか北側は賑わっているらしいね~」という感じらしいです。

島の外の人にとっても、例えばサイクリング客はしまなみ海道の一つの拠点として瀬戸田を通ります。しかしあくまで通過点なので1泊2日などの短期滞在になってしまい、南側まではまわれず、瀬戸田全体を知ることは少ないのです。島内・島外の人両者にとって、南側は注目度が低い地域といえます。

ただ、私は南側の地域に実際には訪れたことがなく実体験に基づいていていないのでこのようなことが言えるのかもしれません。実際行ってみたらどんな魅力があるのでしょうか。
南側は北側より斜面が急だから柑橘類の栽培に適していることだったり、注目度が比較的低いからこそ残っているものもあったりと、北側とはまた違った南側の魅力があるのではないかと思うので、次回訪れた際は自転車で南側も回ってみたいと思います。

今日(9/25)の振り返り

昨日の振り返りで書いた、地元の方とお話をするという目標は一歩進めることができたと感じています。観光客の方や地元の方に挨拶をしたり、ちょっとした会話を重ねていきたいと思います。そういった会話の中で地域のことを知り、瀬戸田に入り込んでいきたいと思います。

また、今日は亀井堂のお母さんや窪田さん、坂本さんとのお話によって瀬戸田の魅力を少しずつ知るとともに「課題」とするところ、=強みに変えうるものが少しづつ見えてきたような気がします。事前リサーチの際は、漠然と「人口減少」が大きな課題であると認識していましたが、「瀬戸田」という地名を広げていくこと、しおまち商店街に地元の人があまり来ないこと、島の北側と南側の温度差、サイクリング客の宿泊日数の短さ、など「人口減少」という漠然とした大きな課題の中のより細かい穴となる部分が見えてきました。私はまだこれらの「課題」とするところを単体でしか見れていないので、この一つ一つの関係性を言語化したり、図式化して目に見える形に落とし込んでいきたいと思います。と同時に、どのような場面で形でそれを強みに変えられそうなのか、瀬戸田の魅力と繋げながら考えていきたいと思います。








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