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燕岳:山頂でノーサイド

昨年から登山の趣味が復活。数年ぶりに山行を再開し、6月に燕岳にひとりで登った。体力が落ちているので、万全を期して有明荘に前泊。

キツイ。登り初めからずっとキツイ。先が思いやられる。普段運動していない身体はとてもゆっくりとしか動かない。上りのコースタイムは4時間半。大幅に遅れそう。暑い、6月の気温はすでに暑すぎる。汗が出る。息が上らないようにゆっくり登り続ける。何度も立ち止まって汗を拭き、水分補給。休憩のベンチで休んで足をマッサージ。

途中の合戦小屋で有名なスイカを食べる。美味しい。燕山荘まで半分以上は登った。もう少しだ。私の他にも辛そうに登っている男性がいて、同じくらいのペースで歩いている。休憩のたびに抜きつ抜かれつ、目だけで「お先に」とあいさつする。人がいて心強いけど、だんだん目が合うとちょっときまりがわるくなってくる。

「もう少しですよー!頑張ってください」
「上(頂上)に行ったらサイコーですよー!」
「おひとりですか!お気をつけて!」

若者の登山者が声をかけてくれる。なんて優しいの!ちょっと元気が出る。
20代30代の人から見れば、私は彼らのオカンと同年代。
そんなおばさんが一人でこんな山を汗を流して登っているのを見て、ひと声を掛けずにはいられないのかもしれない。

やっとの思いで頂上に着くと、道中ライバルだった男性が「写真、お撮りしましょうか」と声をかけてくれた。お互い写真を撮り合う。いい笑顔だ。「いやーキツかったですねー!」「ホント暑かったですね!」と会話が弾む。ノーサイドだ。


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