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これさえあれば「書き通せる」_『ビジネス書 実用書の書き方』(丘村奈央子 著、ごきげんビジネス出版)

これほど至れり尽くせりの「書き方指南本」があっただろうか。

『3ステップで確実に書き上がる ビジネス書 実用書の書き方』(丘村奈央子 著、ごきげんビジネス出版)は、とにかく一冊分の文章を「書き通す」ことを主眼に置いた本。「コンテンツを語れる人であれば長い文章も書ける」と著者は言う。そう読者の背中を押した上で、具体的に一冊分を書く方法を教えてくれる。

そのプロセスはたったの3つ。「立てる」「埋める」「直す」だ。

最初のプロセス「立てる」は、一冊分を書き通す上で必ず必要となる「目次」をつくることを指す。

自分でブックライティングをしてみて痛感しているが、目次や構成案はとても大事。ここで「まあ、こんなもんかな」とあいまいなところを残していると、あとで確実に苦労する。逆に言えば、きちんと目次をつくっておくことで書く内容は明確になり、筆が止まることがない。目的地までの道筋がはっきりとわかる地図を得たような状態になるのだ。

「立てる」ためのコツとして、

・自分の書きやすい文字数を把握する
・一冊分に必要な文字数を書きやすい文字数で割ってみる→おのずと小見出しの数のめやすがわかる
・読者にたどり着いてほしいゴールから逆算して小見出しを立てる

などなどの、たくさんのコツが示されている。そのすべてについてはぜひ本で読んでみてほしいのだが、これを全部試してみてそれでも目次が立てられないのなら、それは自分の中のコンテンツが熟してない証拠だろう。それほどあらゆる角度から、目次を立てやすくする術を教えてくれている。本書の中で、もっともページが割かれているのがこの「立てる」に関する部分。それだけ長文を書くのに重要なプロセスが「立てる」なのだ。

2つめのプロセス「埋める」は、文字どおり原稿用紙を埋めていく作業だ。目次がしっかりできていれば、自分の中にあるコンテンツを文字にしていくだけ。ここで気の利いた表現を入れようとか、前に書いたあの部分を直したいなどと考えてはいけない。とにかく書ききることに集中する。手が止まってしまっても、目次に立ち返れば、自分が何を書くべきかがはっきりするからすぐに書く作業を再開できる。「埋める」は「立てる」プロセスをいかにしっかり通過しているかがモノを言うのだ。

3つめのプロセス「直す」も、文字どおり修正作業のこと。やみくもに直すのではなく、見直す手順、チェックポイントをしっかり押さえてあるから、これにしたがって修正していけば読みやすい文章になるだろう。

本書を読み、本を一冊書き通すコツは、「できる」と思えるように自分を洗脳していくことだとあらためて思った。「この文字数なら書ける」「この文字数で○日書き続ければできる」「この小見出しがあれば書くべき内容がおのずと出てくる」というふうに。この本があれば、書けない理由を並べることはできなくなる。どうすれば書けるようになるかを、まさに一つひとつ手ほどきしてくれるのだから。