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施設側も利用者様側にもメリットのある持ち帰り弁当、注意点をしっかり理解して導入しよう!

持ち帰り弁当①

 皆さんは、施設に通っている利用者様がご自宅でどのような食事を摂られているかをご存知でしょうか。
 利用者様の低栄養や筋力低下など身体機能の低下予防には、施設だけではなく自宅での適切な栄養摂取が大切です。在宅時にもしっかり食事を摂ってもらうための便利な方法として、今回は持ち帰り弁当の活用と注意点についてご紹介していきます。

1)持ち帰り弁当のメリット

 まず、ここで言う「持ち帰り弁当」とは施設に通っている利用者様がご自宅に持って帰るお弁当の事を指します。これは高齢者向けに管理栄養士が考えているので栄養バランスはもちろん、糖尿病や腎臓病などの病気に合わせたものや咀嚼能力に合わせたやわらか食など種類が豊富なことも特徴です。

 持ち帰り弁当には大きく分けて冷凍商品チルド商品があります。
冷凍商品は長期保存が可能なので急な予定にも対処しやすいチルド商品は使うことができる食材や調理法が豊富で手作り感が出せ、味に飽きがこないというメリットがあります。

 持ち帰り弁当を導入する事例は以下のようなケースがあります。
 まず1つめに、施設に行かない日や急遽施設に行けなくなった場合でも冷凍弁当をご自宅にストックしておくことでご自宅で栄養バランスの整った食事を摂ることができるというケースです。施設に行かない日は食事の準備が面倒でつい簡単な菓子パンやおにぎりのみで終わらせるという方も珍しくありません。そんな時に温めるだけで食べられるのはとても嬉しいですね。
 2つめは、家族の方の調理負担軽減のための活用です。減塩食ややわらか食を1食だけ作ることはご家族にとっても負担があるのではないでしょうか。バランスの良い栄養価で構成されているお弁当は日々の調理負担軽減に利用されています。
 3つめは、感染症や天候等の影響で買い物に行けない時やご家族が訪問できなくなった際にストックしておくというケースです。

 持ち帰り弁当が施設で買えるようになれば、施設側も利用者様のご自宅での食事が分かりますし、利用者様側もいつも利用している施設から持ち帰ることで信頼して購入することができますね。

2)保健所申請について

持ち帰り弁当②

 施設内に厨房がある場合は運用前に申請を行っているため問題はありませんが、新たに配食サービスを行う場合は申請が必要な場合があります

 一般的に1回あたり20食以上の食事を提供する場合は食品衛生法により申請が必要とされています。また、食材を使って調理を行わない場合でも冷凍弁当を温める・刻む等の作業も調理とみなされ、申請が必要になるため注意が必要です。

 申請の要不要にかかわらず、食中毒が発生した時高齢者は被害を受けやすいため慎重に衛生管理を行う必要があります。各自治体によって求められる対応が多少変わってきますので、一度保健所に確認を行うことをおすすめします。


3)注意点まとめ

 ここまで持ち帰り弁当のメリットや保健所申請についてまとめてきましたが、最後に持ち帰り弁当の注意点をまとめていきます。

 持ち帰り弁当は一般的な食事と比べ、食べるまでに時間がかかることから衛生面に注意し食中毒を予防することが大切です。
 配食を行う場合の対策として、ふた付き容器に入れるなどほこりや異物が入らないよう注意し、 食事の運搬は適切な温度管理のもとで短時間に行うことが必要になります。

 また、利用者に手渡す時は「受け取り後はその日のうちにお召し上がりください」「一度解凍したら再冷凍はしないでください」「長時間の持ち歩きや室内放置はしないでください」などの声掛けや注意書きも有効です。

 持ち帰り弁当は個人でも注文や配達ができますが、送料や手数料がかかる場合や一度に大量に届く場合もあるため保存場所の確保が大変な場合があります。それが施設で食べる分だけ購入する事ができれば、利用者様も気軽に持ち帰り弁当を利用できるのではないでしょうか。

 施設に通っている利用者様の栄養面を、家庭でも手軽にサポートできるように持ち帰り弁当をぜひ導入・活用してみてくださいね。

(参考)
※食品衛生法
※福祉目的の食事提供行為における食品衛生管理指針

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野口久美子(のぐちくみこ)
兵庫県生まれ神奈川県在住。
管理栄養士を取得した後、デイサービスと保育園の複合施設で献立作成や調理、食品メーカーでデザート開発を経験し独立。
現在はフリーランスとしてダイエットサポートやコラム執筆などで活動中です。趣味はスポーツで最近はキックボクシングにはまっています。

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