すぐ戻りますカード

7月19日（金）
朝、目が覚める。蝉や小鳥の声を聞いて うっとりしながら、しばらく ごろごろする。むくりと起きあがる。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう！」と、あいさつをする。
今日もトンボがたくさん飛んでいる。

カカオにご飯をあげる。

ウーちゃんとルーちゃんを眺めていると、ルーちゃんがエサをおねだりしてきた。
こちらを見つめながら ぷか〜っと浮いてくる。そして、片手を上げる。

「みるみる〜、ご飯〜。」と言っている。ような気がした。その可愛さに きゅんきゅんする。

エサをあげる。2匹とも ぱくぱく食べる。うれしい。
水槽の水を じゃんじゃん換える。

ピンポーン。チャイムが鳴った。

「は〜い！」と言って玄関に行く。

佐川急便さん。にこにこしている。

「昨日、荷物置いとったん分かった？」と、Sさん。

「分かりましたよ〜。ありがとうございます。」と、私。

「この紙 貼っとったろう。どういう意味？分からんかったけど車なかったけ、おらん思て。」とSさんが、木こりさんの椅子に置いてある ”Mil is out" カードを指差して言った。

「 ”出かけてます” って書いてるの。ご近所の外国人の友だちが ときどき来るから。そうだ、日本語もあるといいですね！」と、私。

なぜか大笑いして、Sさんは車に戻った。

Sさんが帰ったあと、バケツをひっくり返したような土砂降りになった。

食事の支度をする。
昨日、ごはんさんにもらったおいしい卵で卵サンドを作る。

雨が止んだ。

午後、コープさんがやってきた。
今週はお買い物に行かない週なので、コープさんに先週の金曜日にお水を届けてもらうことにしていたが、手ちがいで今日になっていた。担当のOさんが

「あー、お水忘れちゃった。今日夕方、仕事終わってからオレの車で持ってきます。」と言ってくれた。

びっくりした。お仕事が終わってからだなんて。親切だなぁと思った。

「いいよ来週で。」と、私。

「でも、水あります？」と、Oさん。

「うん。蛇口ひねったらジャージャー出てくるから。」と、私。

グリーンコープさんの元気カーがやってきた。カゴを持って てくてく歩いてゆく。ものすごく暑い。車の近くに立っているだけで汗が ぽたぽた落ちた。

レジを打っているメガネさんの顔から汗が ぽたぽた落ちている。その汗がレジに落ちると、汗に反応してレジが動かなくなっている。どういうしくみなんだろう。

スイカのポシェットからお金を出していると、

「お、夏用財布！」と、メガネさんが言った。付き添いの女性が

「わぁ！すごく可愛い！」と手を叩いてくれた。スイカのポシェット大人気。

いつものように「ぱくっ」と言って食べるマネをする。すごくウケた。

仕事をする。卓上カレンダー用の 10月の絵を描いている。メチャくんとコスモス。小さなカットなので細かく描かずシンプルな絵にする。

ピンポーン。チャイムが鳴った。

「は〜い！」と言いながら玄関に走る。ガラッと戸を開けてびっくりした。

チャンドラかと思った。チャンドラというのはネパールの友人だ。
でもちがった。宅配便の人だった。全開の笑顔。笑顔もそっくり。こんなに濃い顔の人が日本にいるなんて。

バナナさんが歩いている。手を振りあう。

「暑いね〜〜！みるちゃんとこ小さい蜂の巣があったよ。」と、バナナさん。

「え！どこに！？」と、私。

「もう取ったから大丈夫。」と、バナナさんが言った。

「わぁ、ありがとう！」と言って手を合わせた。

お向かいの Iさんが出てきた。ムウムウみたいな洋服を着ている。金魚みたいでとても可愛い。

「暑いね〜。雨すごかったね〜。」と、話す。

夕方出かける予定。
出かけるとき、玄関の戸に

"Mil is out." のカードと、
”すぐ戻ります。荷物は玄関の中にお願いします。” のカードを貼る。似顔絵付きで。

今日も川沿いを走る。天使や妖精がいるみたいに川面がキラキラ輝いている。空は広く青く白い雲が流れてゆく。トンビが上空で優雅に円を描く。川べりの緑が眩く、道沿いの枯れた花もとてもきれいだった。美しい光景に胸がふるえる。

美しい景色を見ると「あぁ、生きててよかったなぁ。」と、しみじみ思う。

用事を済ませて帰路に着く。

家に着き、玄関の戸を開けると中に荷物が置いてあった。佐川急便さんからだ。Sさんだろう。日本語のカードを見て笑ったかな。

少しだけお散歩に行く。
今日も子ダヌキたちに出会った。きょとんとして本当に可愛い。

「タヌちゃん！」と呼ぶと、もこもこの おしりを振りながら木の影に隠れた。

調べ物をする。
仕事をする。

修一郎が起きてきた。
夕食の仕上げをする。

夜、庭に出る。
厚い雲の間から月が顔を出していた。強い光。ごはんさんが言うところの ”忍者が出そうな月夜” だ。
双眼鏡を持ってくる。月は雲に隠れていた。星を見る。淡い金色に輝いている。小さな煌めきが無数に集まって ひとつの星になっているように見える。美しくて感動した。

夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。

カカオは ちゅ〜るを 2本食べて遊びに出かけた。

今日もいい一日だった。